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2017年10月16日 (月)

中国環境保護税制度とその実務対応法を概説

中国環境保護税制度

 

中国では、企業向けの新たな環境規制の導入、既存の環境規制の改革が続いている。周知の通り、大気汚染規制は大幅に強化され、今後も続いていくのはもちろん、次の制度改革が進んでいる。

・建設事業環境管理制度(環境アセス、環境検収等)

・土壌汚染防止法(2018年頃制定)

・環境保護税法(201811日施行)

・改正水汚染防止法(201811日施行)

・新たな汚染排出許可証制度

・グリーン製品認証制度

・グリーン製造業制度(グリーンプロダクト、グリーンファクトリー、グリーン産業団地、グリーンサプライチェーン制度)

・企業環境リスク管理制度

2020年までの環境保護基準の整備(大気総合、廃水総合、悪臭等基準を改定)

2020年までの危険化学品基準の整備

 

本稿ではこのうちほとんどの製造業が対象となり、日系企業にとっても影響の大きい環境保護税について解説する。環境保護税制度はかなり昔から検討されていたが、習近平政権の体制強化に伴い、環境諸制度の改革が大きく進んだ。環境保護税制度もその一つである。

 

中国環境保護税制度の概要

 

ごく簡単にまとめれば、40年近くの歴史のある汚染排出費制度を環境保護税に転換し、税務機関と環境当局が共同管理するものである。

 

 
 

・納税者;中国領域及び管轄の他海域で、環境に課税対象の汚染物を環境に直接排出する企業。現行の汚染排出費と同じ。

 

・税額;現行の汚染排出費とほぼ同じ(2014年通達)。省級地方政府は、額を引き上げ可能(国務院に届出)。

 

・課税対象と課税範囲;課税対象は、大気汚染物、水汚染物、固形廃棄物、騒音の4種、具体的な税目は『税目税額表』を適用。大気汚染物、水汚染物の課税範囲は、それぞれの排出口の汚染物の種類別に、汚染当量数の大きい順に並べ、上位3種とする(排水のみ重金属を含む第一区分項目の上位5種も加える)。省級地方政府は課税対象汚染物の種類数を増やしてもよい(国務院に届出)  

 

・税制優遇;納税者が、課税対象の大気汚染物と水汚染物を排出する際、排出濃度基準の50%を下回る場合、徴収額を半減でき、排出濃度基準の30%を下回る場合、徴収額を75%減にできる。

 

・徴収管理;「企業が申告、税務機関が徴収、環境部門が協力、情報を共有」の徴収管理方法に基づき、①納税者は税務機関に納税申告を行い、申告内容の正確性と合法性に責任を持つ、②税務機関が、納税者の申告データが明らかに事実と異なることや脱税等の行為を発見した場合、環境行政部門に納税者の汚染排出状況の査定を申請、③環境行政部門と税務機関は関連情報の共有メカニズムを構築する。月毎に計算し、四半期ごとに支払う

 

 

留意点について

n 汚染排出費から環境保護税転換での基本金額の変化

 大気・水の項目と汚染当量値は変更なし

 ただし排水について第1類を別途追加

 課税係数は大気1.2(0.6)、水1.4(0.7)に倍増(2014年通達でSO2NOxCODA-Nのみ大気1.2元、水1.4元に引き上げる指示あり)

 廃棄物の不適合保管は変更なし

 基準超過騒音は区分が大きくなり、実質若干の引き下げに

n 優遇/懲罰方式

 大気・水で、濃度基準値50%以下で半減、同30%以下で75%減免(新規定であるが、50%以下のケースは2014年通達で指示あり)

 「大気・水で排出基準超過時に倍額」は廃止

 「大気・水で排出総量枠超過時に倍額」(2014年通達のみ)は廃止

 「淘汰類産業に対して倍額」(2014年通達のみ)は廃止

 上記廃止項目は直接処罰方式に転換か

n 省級地方政府の引上げ権限

 省級地方政府は税額表の範囲内で大気・水の課税係数を引き上げてよい

 大気は1.2元~12元、水は1.4元~14

 現行でも北京、天津などで一部項目を約10倍に引き上げている

 

環境保護税法の全文(当社訳)については、このブログページよりダウンロードできる。ダウンロードできない場合、当社まで連絡下さい。

「kankyozei.pdf」をダウンロード

なお、2017年末まで施行される汚染排出費制度は、いまだに「環境罰金である」と間違った説明をされる方が多いが、これは汚染排出課徴金であり、排出削減のための経済的インセンティブ+環境補助金財源であり、汚染排出濃度と排出総量枠を順守しても支払わなければならない環境利用料金であるため、法令違反(行政処罰)や違法(刑事処罰)とは全く異なる。

 

中国環境保護税制度の解説

 

環境保護税については、すでに以下の解説記事があるが、実務的な解説は少ない。

 

 
 

環境保護税法 201811日スタートまで3か月を切りました

 

https://www.attax.co.jp/cbc/appointed02/post-5603/

 

「中国環境保護税法実施条例(意見募集稿)」

 

http://www.bk.mufg.jp/report/inschiweek/417072601.pdf

 

環境保護税法

 

http://tgii.center/info/wp-content/uploads/2017/05/6ee09d1e3d1d88b8ca334e2f45714fd0.pdf

 

汚染排出費を環境保護税へ

 

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/info/cndb/express/pdf/R419-0462-XF-0105.pdf

 

全人代常務委員会が「中華人民共和国環境保護税法」を可決

 

https://home.kpmg.com/cn/en/home/insights/2017/01/china-tax-alert-05-j.html

 

中国環境保護税法の施行と日本企業への影響

 

http://www.jri.co.jp/thinktank/sohatsu/mailmagazine_html/170110/index.html

 

中国 環境保護税の導入が決定 201811日からスタート

 

https://www.attax.co.jp/cbc/news/post-3990/

 

中国:「環境保護税」草案を改正、地方の追加課税に上限

 

http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20161221-00000048-scnf-world.vip

 

 

環境保護法の法令の体制としては、20171016日の時点では次の通り。

①環境保護法→②環境保護税法→③環境保護税法実施条例→④地方通達

 

このうち環境保護法では環境保護税を導入しますよという内容にとどまるので、実質的には②、③、④が重要となる。

 

環境保護税:企業のどんな負担が増えるか?

□環境保護税法の施行は企業に影響 企業負担への影響

 第一に、企業名義での負担の変化は、環境保護税に対する地方の具体的税率水準で決まる。

 税・費用改革の負担不変要求に基づき、環境保護税の税率下限と汚染排出費の最低徴収基準は一致しているため、名義上の負担の変化は、地方がその権限内で引上げた具体的税率水準で決まる。

 実際に、一部の地域は20156月末までに、汚染排出費徴収基準を引き上げた。例えば北京市(最低基準の89倍)、天津市(同57倍)、上海市(同36.5倍)、江蘇省(同34倍)、河北省(同25倍)、山東省(同2.55倍)、湖北省(同12倍)等である。

 第二に、環境保護税の徴収・管理強化の面から、企業の実質負担が増える。

 徴収管理後の実質負担の面では、改革後、徴収管理がより強化され、過去、企業が汚染排出費の徴収管理でありえた費用交渉や未納問題が、税務機関の徴収管理で解決できる。

 また、環境行政部門による企業汚染排出監督管理の厳格化に伴い、データ改ざんが徐々に減り、企業の申告した汚染排出量等のデータが、より真実で信頼性が高くなる。このため、汚染排出費の徴収率と比べて、環境保護税の徴収率は高くなり、これはある程度企業の実質負担を増やす。

□企業の経営・管理面への影響

 第一に、全体から言えば、環境保護税による企業経営への影響は小さい。現行の企業税負担構成から見ると、汚染排出費は、税・費用負担の主要構成部分ではない。

 国家統計局の調査データによると、2015年の大規模工業企業の税金は、付加価値税、企業所得税、営業税及び付加・管理費用等からなり、営業収入の5.36%を占める。一方、2015年の汚染排出費収入は173億元で、大規模工業企業の主業務収入の0.02%しかないという。

 上記のデータから、他の徴収費用を考えない場合、汚染排出費が大規模工業企業税・費用収入に占める割合は0.29%しかなく、一部の汚染排出量の大きい工業企業の状況を考慮しても、汚染排出費が企業の納める税・費用総額に占める割合は1%未満であるため、環境保護税の導入は、全体としては企業経営に大きな影響を及ぼさない。

 環境保護税の徴収開始後の企業汚染排出モニタリングの強化を考慮すると、企業は、汚染物自動モニタリング設備等施設への投資拡大、汚染処理施設の運行コスト増等を含めて、汚染排出基準順守のため、汚染対策を強化して汚染対策費用負担を増やすことになる。

 環境保護税では、納税者の汚染自動モニタリング設備用投資に資金・政策的支援を与え、負担の軽減を図ると打ち出した。

 第二に、環境保護税は、企業が環境管理・税務管理を強化するよう求めた。企業は、課税汚染物の排出種類・量・濃度・課税額等を自ら申告し、申告内容の正確さに責任を負う。税務機関は、企業の納税申告データ資料を比較し、環境行政部門に再審査を申請することもできる。

 汚染排出費の徴収管理と比べると、企業は、税収徴収管理法等の規定手続きに厳格に順守して納税を申告し、より明確な法的責任を負うものとする。そのため、企業は、環境・税務の管理を強化し、納税申告の正確性・真実性を確保し、管理不充分による税務リスクを削減する必要がある。

<環保創業邦より>

http://huanbao.bjx.com.cn/news/20170603/828972.shtml

 

 

環境保護税法実施条例で意見募集 排出濃度など各項目の定義を明確化

 財務省、税務総局、環境保護省は626日、『環境保護税法』の施行を支えるため、『環境保護税法実施条例』(パブコメ版)を共同で起草・公布し、意見募集を開始した。同条例は42条からなり、環境保護税納税者、課税対象を明確にし、課税対象汚染物排出量の4種類の計算方法の具体的状況を細分に規定し、環境保護税法に定める免税・減税の条件を具体的にし、環境保護税法の規定を踏まえ、環境保護税徴収管理事項について規定した。

 同条例第2条は税法を踏まえ、環境保護税の納税者を細分化し、企業・事業者のほか、環境保護税を支払わねばならない自営業工商者やその他組織等の「その他生産経営者」を明確にした。

 税法の規定では、徴収対象は大気汚染物・水汚染物・固形廃棄物・騒音の4種類である。同条例は、徴収対象について解釈・詳細化し、①大気汚染物とは環境中に排出した大気環境質に影響する物質、②水汚染物とは環境中に排出した水環境質に影響する物質、③固形廃棄物とは工業生産活動で発生した固形廃棄物、医療・予防・保健等の活動で発生した医療廃棄物、及び省・自治区・直轄市政府が定めたその他固形廃棄物、④騒音とは工業生産活動で発生した周辺生活環境に影響を及ぼす音を指す。

 同税法は、工業汚水集中処理等を免税しないと規定しているため、同条例では税法の免税対象の「都市汚水集中処理場所」の範囲を「一般住民に公共生活汚水(汚泥)集中処理サービスを提供し、かつ公共財政が運営サービス費を負担する、或いは運営資金を手配する汚水(汚泥)集中処理場・施設」と定め、「工業団地・開発区・工業クラスタ区及びその他特定地域内の企業・公共事業者、その他生産経営者に汚水処理サービスを提供する施設・場所、及び企業・公共事業者やその他生産経営者が自社で建設・使用する汚水処理施設・場所」は免税の対象外である。

 課税対象である大気汚染物と水汚染物の「濃度値」について、同条例では、当月自動モニタリングした課税対象大気汚染物の1時間平均値を更に平均した数値、又は課税対象水汚染物の日平均値を更に平均した数値、及び当月モニタリング機関が毎回測定したモニタリングの課税対象大気汚染物・水汚染物の濃度値である。

 納税者が2つ以上の排出口から大気汚染物・水汚染物を排出する場合、排出口ごとに課税対象汚染物の環境保護税を計算する。環境保護税の徴収を減額する場合、各排出口の課税対象汚染物ごとに計算するものとする。

 固形廃棄物の場合、その排出の特徴を踏まえ、課税対象物排出量の計算・確認に便利なように、同条例では「固形廃棄物の排出量=当期固形廃棄物の発生量-当期固形廃棄物の総合利用量-当期固形廃棄物の保管量-当期固形廃棄物の処分処理量」の式で計算する規定した。

 汚染物モニタリング管理規定に違反した、及び汚染物を違法排出した納税者に対し、同条例は、課税対象汚染物排出量を同税法第10条第3項の汚染排出係数、物質収支(マテリアルバランス)計算方法、汚染発生量で計算すると明確にした。汚染排出係数と物質収支計算方法は、国務院環境行政部門が策定・公布する予定である。

 同税法では、実際にモニタリングまたは物質収支計算できない畜産養殖産業、小型企業、第三次産業等の小型汚染排出者に対し、付属文書『畜産養殖産業、小型企業、第三次産業等水汚染物当量値』で計算する。同条例の特別説明において、税法で規定していないその他の家畜の種類に対し、課税対象汚染物排出量の計算方法は省級環境行政部門が定めるとした。

 行政部門間の情報伝送のため、同条例では、国務院税務・環境行政部門が全国統一の環境保護税税務関連情報共有プラットフォームを構築し、税務関連情報共有プラットフォーム技術基準を策定し、データ収集・保管・伝送・検索・使用の規範を明確にすると説明している。

 地方税務機関、環境行政部門は、共有プラットフォームを通じて税務関連情報を共有できる。環境行政部門は、環境監督管理中に取得した、汚染排出事業者の名称・統一社会信用コード・汚染排出口・排出汚染種類等の基本情報、排出汚染物のモニタリング結果、違法排出行為の処理処罰情報等の情報を、プラットフォームにより税務機関に伝達するものとする。税務機関は、プラットフォームを通し、納税者が申告した固形廃棄物発生量・総合利用量・保管量・処分量及び関連証明書類、納税者が申告した納税予定額・減免額・国庫入金税額・滞納税額等、納税者の納税申告データ資料の異常等のリスク容疑情報、納税者税務関連違法行為処理情報等を伝達するものとする。

 納税者が申告した汚染物モニタリングデータが環境行政部門の伝達したデータと異なる場合、同条例は、①納税者が自動モニタリングデータにより課税対象汚染物排出量を計算する場合、税務機関は環境行政部門が伝達したデータに基づいて納税額を計算する、②納税者がモニタリング機関の発行したモニタリングデータに基づき課税対象汚染物排出量を計算する場合、税務機関は納税者の申告データと環境行政部門の伝達したデータと比較し数値の高い方を納税者の納税額として確定する。

 税法第17条によると、課税対象汚染物排出地は、課税対象大気汚染物、課税対象水汚染物の排出口の所在地、固形廃棄物発生地、工業騒音発生地を指す。納税者の課税対象大気汚染物・水汚染物排出口が生産経営地とは異なる省級行政地域にある場合、生産経営地の税務機関が管轄する。

 環境行政部門と税務機関の業務を如何に連携するかについて、同パブコメ版によると、①税務機関は環境行政部門が伝達した汚染排出事業者情報に基づき納税者識別を行い、②各級税務機関・環境行政部門は納税者への指導研修を強化し、納税コンサルサービスを行う、③環境行政部門は、納税者が申告した課税対象汚染物排出情報及び適用する汚染排出係数・物質収支計算方法が規範を満たさないことを発見した場合、税務機関に通知して処理する、④税務機関は法により環境保護税の税務検査を実施し、環境行政部門はこれに協力する――とした。

・財政省、国家税務総局、環境保護省『環境保護税法実施条例(パブコメ版)』

http://www.chinatax.gov.cn/n810214/n810606/c2682982/content.html

<界面ニュース、中国環境報より>

http://huanbao.bjx.com.cn/news/20170627/833367.shtml

http://www.mep.gov.cn/xxgk/hjyw/201706/t20170628_416808.shtml

 

中国環境保護税制度の対応実務

 

特に実務的に重要になるのが次の問題である。

 

VOC単独課税があるのか?

 VOC対策の一環として、2015年にVOC汚染排出費の単独課金実証事業が始まった。実際には石油化学と印刷包装の2業種(北京、上海、山東では対象業種を追加)で、2016年~2017年頃から各地で始まった。

 元の汚染排出費制度では、各汚染項目の汚染当量数(実排出量を項目別汚染当量値で割った数値)が上位3項目に入らないと課金されず、大半はSO2NOx、粉塵で上位3項目を占め、トルエンやキシレンといったVOC各項目が上位3項目に入ることは少なく、VOC排出抑制効果が低かった。そこでトルエンやキシレンなどVOCについては、上位3項目に入らなくても単独で課金することにした。

 VOC汚染排出費の単独課金実証制度は、現行の汚染排出費制度をベースに上乗せした制度となっており、環境保護税制度になった後、こちらも環境保護税制度をベースに上乗せした制度になるのかどうか、現在は未定である。

 オフィシャルな解説によると、「条件が整ってくればVOCも対象に入れる」となっている。それではすぐには対応不能ということで、201811日からの環境保護税導入には間に合わず、当面は汚染排出費上乗せ制度方式で間に合わせる可能性があると思われる。もしこれなら環境保護税は税務機関に申告、VOC単独課金上乗せ部分は地方環境保護局に申告するという複雑な構図になる。いずれにせよ今後の通達待ちとなる。

 

・具体的な計算方法

 排出した汚染物の種類・量を、汚染当量に基づいて計算。汚染当量当たり徴収基準は大気1.2元。

 各排出口につき、汚染当量の多い順に上位3位まで。

 ある汚染物の汚染当量数:汚染当量数=(排出量(kg))÷(汚染当量値)

 環境保護税の計算:排ガス課税係数1.2元×上位3項の汚染当量数の和

 

計算例:企業Aのある排出口(1ヶ月)

                                                       
 

 

 
 

排出量(kg)

 
 

汚染当量値

 
 

汚染当量数

 
 

SO2

 
 

50

 
 

0.95

 
 

52.6

 
 

NOx

 
 

60

 
 

0.95

 
 

63.2

 
 

粉塵

 
 

90

 
 

2.18

 
 

41.3

 
 

CO

 
 

10

 
 

16.7

 
 

0.6

 
 

ベンゼン

 
 

2

 
 

0.05

 
 

40

 
 

トルエン

 
 

2

 
 

0.18

 
 

11.1

 

 

 この場合、汚染当量数の多い順の3項目にはSO2NOx、粉塵となる。したがって、次の通り計算する。

 

環境保護税額1.2×(52.663.241.3)188.52

 

 なお、次の点にも留意する必要がある。

①排出口ごとに計算し、最終的に合算する

②大気の場合、無組織排出(漏洩排出)も別途計算する。

③排水の場合、第1類汚染(上位5項目)とその他(上位3項目)で分けて計算する。

④排水の場合、下流に工業廃水処理場がある場合、環境保護税は課されず、汚水処理費を支払う。

⑤地方によっては、この課税係数が引き上がる。特に項目によって課税係数が異なる地方もある点に注意。

 

・地方の課税額はどうなるのか?

 現行の汚染排出費も、2014年通達を受けて各地で引き上げられた(全項目ではなくSO2NOxCODA-Nのみというケースが多い)。特に天津では約9倍、北京では約15倍となった。これは、環境設備を導入するより汚染排出費を払う方が安上がりであるという経済的インセンティブが働かない上、物価上昇により汚染排出費の負担感がさらに軽くなったことが背景にある。また元々環境保護税への転換時に引き上げることを想定していたが、時間がかかってしまうため、環境保護省等が通達形式で各地方環境保護局に引上げを指示していた。

 環境保護税の課税レベルは、2014年通達後の汚染排出費の料金レベルとほぼ同等であるが、一部地方では汚染排出費の料金を引き上げているため、地方の環境保護税も引き上げられると予想される。一部の環境保護税額引き上げ状況は下表の通り。

 

                                                                                               
 

地方

 
 

大気課税係数

 
 

排水課税係数

 
 

課税項目数

 
 

現行との比較

 
 

決定状況

 
 

全国

 
 

1.212

 
 

1.414

 
 

・大気排水3

 

1類排水5

 
 

最低係数不変

 

1類排水追加

 
 

決定済み

 
 

福建

 
 

1.2

 
 

重金属、CODA-N1.5元、その他1.4

 
 

全国と同じ

 
 

ほぼ不変

 
 

決定済み

 
 

浙江

 
 

重金属1.8元、その他1.2

 
 

重金属1.8元、その他1.4

 
 

全国と同じ

 
 

大気重金属のみ引上げ

 
 

提案中

 
 

江蘇

 
 

4.8

 
 

5.6

 
 

全国と同じ

 
 

 

 
 

提案中

 
 

南京

 
 

8.4

 
 

8.4

 
 

全国と同じ

 
 

 

 
 

提案中

 
 

広東

 
 

1.8

 
 

2.8

 
 

全国と同じ

 
 

引上げ

 
 

提案中

 
 

山東

 
 

SO2NOx6.0元、その他1.2

 
 

1.4

 
 

全国と同じ

 
 

不変

 
 

提案中

 

 

中国環境保護税制度 工場側の留意事項まとめ

 

 現行の地方汚染排出費制度がほぼそのまま移行される(排水第一類を除く)と予想されるが、詳細は地方当局の通達や制度を注視する必要あり

 企業側が排出量データの証明責任を負うため、発生源モニタリングを強化する必要あり

 工場内では環境部、財務部のどちらが担当になるか、あるいは共同担当になるか、各社で議論が必要

 納付率の高い日系企業にとっては、金額負担が増えるケースは少なく(排水第一類を除く)、むしろ優遇適用で負担が減ることもある

 税の横展開(別の未納税と併せて取り立てる)に留意

 サプライヤの納税状況、税負担増による価格向上に留意

 2015年通達の排気中のVOCへの単独課金は別規定で維持されるかは未定

 四半期ごとの支払いとなる

 

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