« 「新大気汚染防止法」解説:製造業は更なる対応が必須 環境技術ニーズも増大 | トップページ | 第21回JCESC中国環境セミナー 製造業拠点向け中国環境規制対応 入門編 »

2016年8月30日 (火)

中国内日系製造業環境管理や中国向け電子製品・部品メーカーが対応すべき中国環境管理政策の新たな動き

 現在中国内での製造業環境管理関係者の注目点は、2015年1月1日の改定版環境保護法とそれに伴う罰則強化、2016年1月1日の改定版とそれに伴うVOC(揮発性有機化合物)廃ガス規制強化、土壌汚染防止行動計画(通称、土十条)による土壌汚染防止法の制定(2018年頃の見込み)、CO2排出規制などであろう。これらも当然重要であり、セミナーでも解説する予定であるが、しかしこれではウォッチは不充分である。中国環境規制は、日本では報じられていない大きな変革の流れがいくつもあり、今後その対応が必要になってくる。

・規制緩和と規制強化

 国務院は現在、経済刺激策の一環として、また経済構造転換のため、規制緩和を進めている。具体的には審査を廃止して届出制にしたり、中央審査を地方審査にしたり、管理制度そのものをなくしたりしている。標準分野では「強制標準の整理・統合・簡素化」、「企業標準の自己宣言公開制度化」が進んでいる。環境分野でもこの流れにあり、例えば企業上場前環境審査を廃止し、中国版PRTRとも称される危険化学品環境管理登記弁法を廃止した。  その一方で、汚染排出規制については大幅に強化している。排出基準値は今や日本より厳しく、排出量に対して課金する汚染排出費制度、個別工場向け総量規制の導入といった制度面のみならず、今までは甘かった環境制度運用の厳格化、立入検査等取締り強化、日数罰金等処罰強化なども進めている。

・環境アセス制度の改革

 環境汚染を有効に改善できない要因の一つに環境アセス制度の不徹底が挙げられていた。環境汚職の温床ともなっていたが、環境大臣交代により停滞していた環境アセス制度改革が加速した。具体的には、環境アセス有資格事業者の行政組織からの分離、計画環境アセス強化、小影響事業の審査制から届出制への変更による大中影響事業へのリソース集中、環境アセス報告書の情報公開等が挙げられる。

・環境諸制度を排出許可証主体の環境管理制度に統合

 これまでバラバラにできていた環境アセス、排出申告、排出許可証、総量規制、濃度規制、排出費、排出権取引などの環境諸制度を、「排出許可証」を軸とした環境管理制度に統合する方向性を、環境保護省が打ち出した。これまで以上に総量規制が強調されることになり、汚染型産業はゼロエミッション対策をせざるを得なくなっている。

・全包囲網的な環境監視

 最近の環境規制は行政による強制力の強化のみならず、経済界や住民の力を活用した環境監視強化などの全包囲網的な環境監視に特徴がある。

 行政系の強制力には立入検査等取締り、公安機関との連携、司法機関との連携、オンラインモニタリング強化(ビッグデータ、IoT等の影響で大きく強化される見込み)等がある。

 経済界を活用した環境監視には環境責任保険(保険会社による環境リスクの査定あり)、企業環境信用制度、グリーンサプライチェーン制度等がある。

 住民の力を活用した環境監視には環境情報公開、住民通報、市民参加、公益訴訟等がある。

・グリーン製造工場政策

 国務院「中国製造2025」の一環として「グリーン製造工場」の方針が打ち出された。これは、単なる排出規制ではなく、製造工程そのもののエコ化・グリーン化を指す。具体的には原材料・エネルギー・水の使用効率向上、汚染排出とCO2排出原単位の改善、環境・省エネ・リビルド産業の振興、有毒有害物質の代替、エネルギーや産業廃棄物のリサイクル推進、エコデザイン・拡大生産者責任制、LCA徹底化、クリーンエネルギーへの転換、工業団地単位でのエコ化などである。

 排出規制は環境保護省の専権事項であるが、製造工程での環境対策や省エネはむしろ工業・情報化省や国家発展改革委員会の担当となっており、中国の環境行政だけを見て環境管理していれば見落とすことになる。

・多種の環境ラベルを大統合へ

 中国には現在、環境ラベル認証制度が乱立している。代表的なものだけでエネルギー効率ラベル、環境ラベル、環境ラベル低炭素認証、省エネ(節水)製品ラベル、低炭素製品認証、リサイクルラベル、中国RoHS、トップランナー制度、エネ効率スターラベル等がある。さらにカーボンフットプリント、製品エコデザイン制度も検討されている。省庁ごとの利権もあって乱立状態となったが、今では行政側も業務重複による浪費となり、メーカー側もそれぞれ認証を取得すればコストがかさみ、一般消費者も選ぶのに苦労することになるなど弊害が目立つようになった。2014年にようやくこれらのラベル・認証制度を大統合する方針が示された。現在、環境ラベル大統合に向けた検討が進められている。

 中国内日系製造業環境管理や中国向け電子製品・部品メーカー等は以上の内容について対応が求められている。以下の10月セミナーではこれらの内容についても解説する予定である。

□第15回JCESCセミナー「製造業向け中国環境規制の最新動向とその対応」

・テーマ:製造業向け中国環境規制の最新動向とその対応  ~VOC等大気汚染、CO2、土壌、危険廃棄物規制等~

・日時/場所:2016年10月4日(火)13:30~16:45 東京都品川区 ・定員:40名(定員に達すれば受付終了)

・プログラム、講師略歴、料金、申込方法、優遇等は以下URL参照 http://www.jcesc.com/jcescseminar/seminar15_04oct16tk.html

□第16回JCESCセミナー「中国の電子製品環境規制の最新動向とその対応」

・テーマ:中国の電子製品環境規制の最新動向とその対応  ~中国RoHS2.0・WEEE、大統合に向かうエコラベル制度等~

・日時/場所:2016年10月6日(木)13:30~16:45 東京都品川区 ・定員:40名(定員に達すれば受付終了)

・プログラム、講師略歴、料金、申込方法、優遇等は以下URL参照 http://www.jcesc.com/jcescseminar/seminar16_06oct16tk.html

« 「新大気汚染防止法」解説:製造業は更なる対応が必須 環境技術ニーズも増大 | トップページ | 第21回JCESC中国環境セミナー 製造業拠点向け中国環境規制対応 入門編 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1879050/67249278

この記事へのトラックバック一覧です: 中国内日系製造業環境管理や中国向け電子製品・部品メーカーが対応すべき中国環境管理政策の新たな動き:

« 「新大気汚染防止法」解説:製造業は更なる対応が必須 環境技術ニーズも増大 | トップページ | 第21回JCESC中国環境セミナー 製造業拠点向け中国環境規制対応 入門編 »

フォト
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ