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2015年5月13日 (水)

今年から始まった企業環境情報公開制度 多くの日系企業も対象に

 

最新の注目すべき中国環境規制の動き

~今年から始まった企業環境情報公開制度 多くの日系企業も対象に~ 


1
.『企業・事業者環境情報公開弁法』の概要

 中国ではここ数年も新たな環境規制ができている。今回取り上げるのは「企業環境情報公開制度」である。対象企業リストには日系企業も多い。201511日施行の新『環境保護法』第12条でこの制度を規定しており、具体的には『企業・事業者環境情報公開弁法』で運用する。本弁法は、環境保護省が20141219日に公布し、201511日施行している。

 本弁法の適用対象は、重点汚染排出事業者及び非重点汚染排出事業者である。このうち重点汚染排出事業者とは、区設置市級政府の環境行政部門が毎年3月末までに定めた本行政区域内の重点汚染排出事業者リスト(以下、対象企業リストと称す)に入った企業のことである。2015年では3月末に企業リスト公開が間に合わなかったところが多く、4月頃に各市の環境保護局が一斉に公開された。

 重点汚染排出事業者の義務としては、対象企業リストを公布後90日以内に環境情報を公開し、環境情報は新たに発生または変更があった場合、30日以内にその情報を公開しなければならないとした。弁法規定では「3月末に対象企業リスト公開」となっているため、対象企業は6月末までに情報公開しなければならないことになる。

 重点汚染排出事業者が公開しなければならない環境情報は次の通り。  

 

①企業基本情報(事業者名称、組織機構コード、法定代表者、生産住所、電話、生産経営の主要内容、製品及び規模)

 

②汚染排出情報(主要汚染物及び特徴的汚染物の名称、排出方法、排出口数と分布状況、排出濃度と総量、基準超過状況、適用する汚染排出基準、査定された排出総量)

 

③汚染処理施設の建設・運行状況

 

④建設事業環境影響評価及びその他環境行政許可状況

 

⑤突発的環境事故緊急対応プラン

 

⑥その他公開しなければならない環境情報(別途規定する見込み)

 

⑦環境自社モニタリング方案

 

 環境情報公開の方法としては、自社ウェブサイト、地方環境当局が開設する環境情報公開プラットフォーム(ウェブページ)、現地報道メディアから一つ以上選ばなければならない。自社ウェブサイトで公開すれば問題ないが、地方環境当局ではプラットフォーム利用を推奨しているところが多い。そのほか、掲示板、テレビ・ラジオ、資料配布スタンド設置なども推奨している。

 非重点汚染排出事業者に対する規定としては、義務化してはいないが、国は非重点事業者が自主的に生態保護、汚染防止、社会環境的責任の履行に役立つ情報を公開するよう奨励している。

 懲罰規定としては、重点汚染排出事業者が下記の行為のうち1つに該当した場合、県級以上の環境行政部門により『環境保護法』の規定で公開を命じ、3万元以下の罰金を科し、企業名を公表するとした。地方環境当局は不定期で対象企業の環境情報公開状況を検査する。

 
 

①本弁法の内容規定の通りに環境情報を公開しない場合。

 

②本弁法で規定する方法で環境情報を公開しない場合。

 

③本弁法で規定する期限内に環境情報を公開しない場合。

 

④公開内容が真実でない、または虚偽である場合。

 


2.対象企業リストに日系企業が多数あり

 この対象企業リストは各市の環境保護局が、企業から出された環境アセス書類や届出書類などから把握している汚染負荷の大きい工場・汚染処理施設・病院等をリストアップしたものである。小規模の工場や、汚染負荷の大きい工程のない工場などは含まれていない。全ての市の環境保護局で対象企業リストがネット公表されているわけではない。これにはリスト策定が遅れている場合、リスト公表が遅れている場合が考えられる。公表された一部地方のリストを見ると、日系企業も含まれている。その一例として、下表に上海市、遼寧省大連市、広東省深圳市、広東省東莞市のリストのうち主な日系企業を挙げた(下表で全ての日系企業を網羅しているわけではない)。

表.上海市、遼寧省大連市、広東省深圳市、広東省東莞市の対象企業リストのうち主な日系企業

                                                                   
 

地域名

 
 

日系企業名

 
 

上海市

 
 

三井高科技(上海)有限公司

 
 

上海山崎路板有限公

 
 

日乃本五金塑料製品(上海)有限公司

 
 

上海NTN精密機電有限公司

 
 

金井特線工業(上海)有限公

 
 

 

 
 

遼寧省大連市

 
 

旭硝子特殊玻璃(大連)有限公司

 
 

 

 
 

広東省深圳市

 
 

オリンパス(深圳)有限公司

 
 

オムロン電子部件(深圳)有限公司

 
 

旭硝子精細玻璃(深圳)有限公司

 
 

深圳東洋旺和実業有限公司

 
 

エプソン精工(深圳)有限公司

 
 

住友電工電子製品(深圳)有限公司

 
 

深圳市日東設備工程有限公司

 
 

東レ塑料(深圳)有限公司

 
 

上村旭光化工機械(深圳)有限公司

 
 

富士電機(深圳)有限公司

 
 

精密回路技術(深圳)有限公司

 
 

山田精密技術(深圳)有限公司

 
 

昭工表面製品(深圳)有限公司

 
 

 

 
 

広東省東莞市

 
 

日立蓄電池(東莞)有限公司

 
 

日立化成工業(東莞)有限公司

 
 

田村化研(東莞)有限公司

 
 

京セラ愛克(東莞)有限公司

 
 

東京光学(東莞)科技有限公司

 
 

 

 

 

出典:

上海市リスト http://www.sepb.gov.cn/fa/cms/upload/uploadFiles/2015-04-22/file1973.pdf

大連市リスト http://www.epb.dl.gov.cn/Common/View.aspx?mid=480&id=20830&back=1

深圳市リスト http://www.sz.gov.cn/cn/xxgk/szgg/tzgg/201504/t20150421_2860674.htm

東莞市リスト http://www.dg.gov.cn/0216/6.1/201504/870048.htm


3
.対象企業の対応すべき内容


 中国に工場を持つ企業の対応としては、
①工場所在各市の環境保護局が4月前後に公表した対象企業リストに入っているかどうかを早急に確認する必要がある。対象企業リストに入る条件としては、規模の大きな工場、重点環境監視企業、省級実験室を備える企業、3年以内に大規模環境汚染事件を起こした企業などである。もし対象企業リストに入っていれば、本弁法で規定された情報公開内容に基づいて、6月末までに早急に社内の環境情報を整理し、自社ウェブページなどで公開する必要がある。

 この対象企業リストは毎年更新されるため、毎年確認する必要がある。
2015年版に入っていなかったからといって、2016年版も入らないとは限らない。

 地方によっては環境情報公開のフォームなどを用意しており、地方独自の通達内容がないかどうか併せて確認する必要がある。

※当社では『企業・事業者環境情報公開弁法』仮訳を販売している。詳細は以下
URL参照
http://www.jcesc.com/env_law_reg.html#LR0056

 

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