2017年10月16日 (月)

中国環境保護税制度とその実務対応法を概説

中国環境保護税制度

 

中国では、企業向けの新たな環境規制の導入、既存の環境規制の改革が続いている。周知の通り、大気汚染規制は大幅に強化され、今後も続いていくのはもちろん、次の制度改革が進んでいる。

・建設事業環境管理制度(環境アセス、環境検収等)

・土壌汚染防止法(2018年頃制定)

・環境保護税法(201811日施行)

・改正水汚染防止法(201811日施行)

・新たな汚染排出許可証制度

・グリーン製品認証制度

・グリーン製造業制度(グリーンプロダクト、グリーンファクトリー、グリーン産業団地、グリーンサプライチェーン制度)

・企業環境リスク管理制度

2020年までの環境保護基準の整備(大気総合、廃水総合、悪臭等基準を改定)

2020年までの危険化学品基準の整備

 

本稿ではこのうちほとんどの製造業が対象となり、日系企業にとっても影響の大きい環境保護税について解説する。環境保護税制度はかなり昔から検討されていたが、習近平政権の体制強化に伴い、環境諸制度の改革が大きく進んだ。環境保護税制度もその一つである。

 

中国環境保護税制度の概要

 

ごく簡単にまとめれば、40年近くの歴史のある汚染排出費制度を環境保護税に転換し、税務機関と環境当局が共同管理するものである。

 

 
 

・納税者;中国領域及び管轄の他海域で、環境に課税対象の汚染物を環境に直接排出する企業。現行の汚染排出費と同じ。

 

・税額;現行の汚染排出費とほぼ同じ(2014年通達)。省級地方政府は、額を引き上げ可能(国務院に届出)。

 

・課税対象と課税範囲;課税対象は、大気汚染物、水汚染物、固形廃棄物、騒音の4種、具体的な税目は『税目税額表』を適用。大気汚染物、水汚染物の課税範囲は、それぞれの排出口の汚染物の種類別に、汚染当量数の大きい順に並べ、上位3種とする(排水のみ重金属を含む第一区分項目の上位5種も加える)。省級地方政府は課税対象汚染物の種類数を増やしてもよい(国務院に届出)  

 

・税制優遇;納税者が、課税対象の大気汚染物と水汚染物を排出する際、排出濃度基準の50%を下回る場合、徴収額を半減でき、排出濃度基準の30%を下回る場合、徴収額を75%減にできる。

 

・徴収管理;「企業が申告、税務機関が徴収、環境部門が協力、情報を共有」の徴収管理方法に基づき、①納税者は税務機関に納税申告を行い、申告内容の正確性と合法性に責任を持つ、②税務機関が、納税者の申告データが明らかに事実と異なることや脱税等の行為を発見した場合、環境行政部門に納税者の汚染排出状況の査定を申請、③環境行政部門と税務機関は関連情報の共有メカニズムを構築する。月毎に計算し、四半期ごとに支払う

 

 

留意点について

n 汚染排出費から環境保護税転換での基本金額の変化

 大気・水の項目と汚染当量値は変更なし

 ただし排水について第1類を別途追加

 課税係数は大気1.2(0.6)、水1.4(0.7)に倍増(2014年通達でSO2NOxCODA-Nのみ大気1.2元、水1.4元に引き上げる指示あり)

 廃棄物の不適合保管は変更なし

 基準超過騒音は区分が大きくなり、実質若干の引き下げに

n 優遇/懲罰方式

 大気・水で、濃度基準値50%以下で半減、同30%以下で75%減免(新規定であるが、50%以下のケースは2014年通達で指示あり)

 「大気・水で排出基準超過時に倍額」は廃止

 「大気・水で排出総量枠超過時に倍額」(2014年通達のみ)は廃止

 「淘汰類産業に対して倍額」(2014年通達のみ)は廃止

 上記廃止項目は直接処罰方式に転換か

n 省級地方政府の引上げ権限

 省級地方政府は税額表の範囲内で大気・水の課税係数を引き上げてよい

 大気は1.2元~12元、水は1.4元~14

 現行でも北京、天津などで一部項目を約10倍に引き上げている

 

環境保護税法の全文(当社訳)については、このブログページよりダウンロードできる。ダウンロードできない場合、当社まで連絡下さい。

「kankyozei.pdf」をダウンロード

なお、2017年末まで施行される汚染排出費制度は、いまだに「環境罰金である」と間違った説明をされる方が多いが、これは汚染排出課徴金であり、排出削減のための経済的インセンティブ+環境補助金財源であり、汚染排出濃度と排出総量枠を順守しても支払わなければならない環境利用料金であるため、法令違反(行政処罰)や違法(刑事処罰)とは全く異なる。

 

中国環境保護税制度の解説

 

環境保護税については、すでに以下の解説記事があるが、実務的な解説は少ない。

 

 
 

環境保護税法 201811日スタートまで3か月を切りました

 

https://www.attax.co.jp/cbc/appointed02/post-5603/

 

「中国環境保護税法実施条例(意見募集稿)」

 

http://www.bk.mufg.jp/report/inschiweek/417072601.pdf

 

環境保護税法

 

http://tgii.center/info/wp-content/uploads/2017/05/6ee09d1e3d1d88b8ca334e2f45714fd0.pdf

 

汚染排出費を環境保護税へ

 

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/info/cndb/express/pdf/R419-0462-XF-0105.pdf

 

全人代常務委員会が「中華人民共和国環境保護税法」を可決

 

https://home.kpmg.com/cn/en/home/insights/2017/01/china-tax-alert-05-j.html

 

中国環境保護税法の施行と日本企業への影響

 

http://www.jri.co.jp/thinktank/sohatsu/mailmagazine_html/170110/index.html

 

中国 環境保護税の導入が決定 201811日からスタート

 

https://www.attax.co.jp/cbc/news/post-3990/

 

中国:「環境保護税」草案を改正、地方の追加課税に上限

 

http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20161221-00000048-scnf-world.vip

 

 

環境保護法の法令の体制としては、20171016日の時点では次の通り。

①環境保護法→②環境保護税法→③環境保護税法実施条例→④地方通達

 

このうち環境保護法では環境保護税を導入しますよという内容にとどまるので、実質的には②、③、④が重要となる。

 

環境保護税:企業のどんな負担が増えるか?

□環境保護税法の施行は企業に影響 企業負担への影響

 第一に、企業名義での負担の変化は、環境保護税に対する地方の具体的税率水準で決まる。

 税・費用改革の負担不変要求に基づき、環境保護税の税率下限と汚染排出費の最低徴収基準は一致しているため、名義上の負担の変化は、地方がその権限内で引上げた具体的税率水準で決まる。

 実際に、一部の地域は20156月末までに、汚染排出費徴収基準を引き上げた。例えば北京市(最低基準の89倍)、天津市(同57倍)、上海市(同36.5倍)、江蘇省(同34倍)、河北省(同25倍)、山東省(同2.55倍)、湖北省(同12倍)等である。

 第二に、環境保護税の徴収・管理強化の面から、企業の実質負担が増える。

 徴収管理後の実質負担の面では、改革後、徴収管理がより強化され、過去、企業が汚染排出費の徴収管理でありえた費用交渉や未納問題が、税務機関の徴収管理で解決できる。

 また、環境行政部門による企業汚染排出監督管理の厳格化に伴い、データ改ざんが徐々に減り、企業の申告した汚染排出量等のデータが、より真実で信頼性が高くなる。このため、汚染排出費の徴収率と比べて、環境保護税の徴収率は高くなり、これはある程度企業の実質負担を増やす。

□企業の経営・管理面への影響

 第一に、全体から言えば、環境保護税による企業経営への影響は小さい。現行の企業税負担構成から見ると、汚染排出費は、税・費用負担の主要構成部分ではない。

 国家統計局の調査データによると、2015年の大規模工業企業の税金は、付加価値税、企業所得税、営業税及び付加・管理費用等からなり、営業収入の5.36%を占める。一方、2015年の汚染排出費収入は173億元で、大規模工業企業の主業務収入の0.02%しかないという。

 上記のデータから、他の徴収費用を考えない場合、汚染排出費が大規模工業企業税・費用収入に占める割合は0.29%しかなく、一部の汚染排出量の大きい工業企業の状況を考慮しても、汚染排出費が企業の納める税・費用総額に占める割合は1%未満であるため、環境保護税の導入は、全体としては企業経営に大きな影響を及ぼさない。

 環境保護税の徴収開始後の企業汚染排出モニタリングの強化を考慮すると、企業は、汚染物自動モニタリング設備等施設への投資拡大、汚染処理施設の運行コスト増等を含めて、汚染排出基準順守のため、汚染対策を強化して汚染対策費用負担を増やすことになる。

 環境保護税では、納税者の汚染自動モニタリング設備用投資に資金・政策的支援を与え、負担の軽減を図ると打ち出した。

 第二に、環境保護税は、企業が環境管理・税務管理を強化するよう求めた。企業は、課税汚染物の排出種類・量・濃度・課税額等を自ら申告し、申告内容の正確さに責任を負う。税務機関は、企業の納税申告データ資料を比較し、環境行政部門に再審査を申請することもできる。

 汚染排出費の徴収管理と比べると、企業は、税収徴収管理法等の規定手続きに厳格に順守して納税を申告し、より明確な法的責任を負うものとする。そのため、企業は、環境・税務の管理を強化し、納税申告の正確性・真実性を確保し、管理不充分による税務リスクを削減する必要がある。

<環保創業邦より>

http://huanbao.bjx.com.cn/news/20170603/828972.shtml

 

 

環境保護税法実施条例で意見募集 排出濃度など各項目の定義を明確化

 財務省、税務総局、環境保護省は626日、『環境保護税法』の施行を支えるため、『環境保護税法実施条例』(パブコメ版)を共同で起草・公布し、意見募集を開始した。同条例は42条からなり、環境保護税納税者、課税対象を明確にし、課税対象汚染物排出量の4種類の計算方法の具体的状況を細分に規定し、環境保護税法に定める免税・減税の条件を具体的にし、環境保護税法の規定を踏まえ、環境保護税徴収管理事項について規定した。

 同条例第2条は税法を踏まえ、環境保護税の納税者を細分化し、企業・事業者のほか、環境保護税を支払わねばならない自営業工商者やその他組織等の「その他生産経営者」を明確にした。

 税法の規定では、徴収対象は大気汚染物・水汚染物・固形廃棄物・騒音の4種類である。同条例は、徴収対象について解釈・詳細化し、①大気汚染物とは環境中に排出した大気環境質に影響する物質、②水汚染物とは環境中に排出した水環境質に影響する物質、③固形廃棄物とは工業生産活動で発生した固形廃棄物、医療・予防・保健等の活動で発生した医療廃棄物、及び省・自治区・直轄市政府が定めたその他固形廃棄物、④騒音とは工業生産活動で発生した周辺生活環境に影響を及ぼす音を指す。

 同税法は、工業汚水集中処理等を免税しないと規定しているため、同条例では税法の免税対象の「都市汚水集中処理場所」の範囲を「一般住民に公共生活汚水(汚泥)集中処理サービスを提供し、かつ公共財政が運営サービス費を負担する、或いは運営資金を手配する汚水(汚泥)集中処理場・施設」と定め、「工業団地・開発区・工業クラスタ区及びその他特定地域内の企業・公共事業者、その他生産経営者に汚水処理サービスを提供する施設・場所、及び企業・公共事業者やその他生産経営者が自社で建設・使用する汚水処理施設・場所」は免税の対象外である。

 課税対象である大気汚染物と水汚染物の「濃度値」について、同条例では、当月自動モニタリングした課税対象大気汚染物の1時間平均値を更に平均した数値、又は課税対象水汚染物の日平均値を更に平均した数値、及び当月モニタリング機関が毎回測定したモニタリングの課税対象大気汚染物・水汚染物の濃度値である。

 納税者が2つ以上の排出口から大気汚染物・水汚染物を排出する場合、排出口ごとに課税対象汚染物の環境保護税を計算する。環境保護税の徴収を減額する場合、各排出口の課税対象汚染物ごとに計算するものとする。

 固形廃棄物の場合、その排出の特徴を踏まえ、課税対象物排出量の計算・確認に便利なように、同条例では「固形廃棄物の排出量=当期固形廃棄物の発生量-当期固形廃棄物の総合利用量-当期固形廃棄物の保管量-当期固形廃棄物の処分処理量」の式で計算する規定した。

 汚染物モニタリング管理規定に違反した、及び汚染物を違法排出した納税者に対し、同条例は、課税対象汚染物排出量を同税法第10条第3項の汚染排出係数、物質収支(マテリアルバランス)計算方法、汚染発生量で計算すると明確にした。汚染排出係数と物質収支計算方法は、国務院環境行政部門が策定・公布する予定である。

 同税法では、実際にモニタリングまたは物質収支計算できない畜産養殖産業、小型企業、第三次産業等の小型汚染排出者に対し、付属文書『畜産養殖産業、小型企業、第三次産業等水汚染物当量値』で計算する。同条例の特別説明において、税法で規定していないその他の家畜の種類に対し、課税対象汚染物排出量の計算方法は省級環境行政部門が定めるとした。

 行政部門間の情報伝送のため、同条例では、国務院税務・環境行政部門が全国統一の環境保護税税務関連情報共有プラットフォームを構築し、税務関連情報共有プラットフォーム技術基準を策定し、データ収集・保管・伝送・検索・使用の規範を明確にすると説明している。

 地方税務機関、環境行政部門は、共有プラットフォームを通じて税務関連情報を共有できる。環境行政部門は、環境監督管理中に取得した、汚染排出事業者の名称・統一社会信用コード・汚染排出口・排出汚染種類等の基本情報、排出汚染物のモニタリング結果、違法排出行為の処理処罰情報等の情報を、プラットフォームにより税務機関に伝達するものとする。税務機関は、プラットフォームを通し、納税者が申告した固形廃棄物発生量・総合利用量・保管量・処分量及び関連証明書類、納税者が申告した納税予定額・減免額・国庫入金税額・滞納税額等、納税者の納税申告データ資料の異常等のリスク容疑情報、納税者税務関連違法行為処理情報等を伝達するものとする。

 納税者が申告した汚染物モニタリングデータが環境行政部門の伝達したデータと異なる場合、同条例は、①納税者が自動モニタリングデータにより課税対象汚染物排出量を計算する場合、税務機関は環境行政部門が伝達したデータに基づいて納税額を計算する、②納税者がモニタリング機関の発行したモニタリングデータに基づき課税対象汚染物排出量を計算する場合、税務機関は納税者の申告データと環境行政部門の伝達したデータと比較し数値の高い方を納税者の納税額として確定する。

 税法第17条によると、課税対象汚染物排出地は、課税対象大気汚染物、課税対象水汚染物の排出口の所在地、固形廃棄物発生地、工業騒音発生地を指す。納税者の課税対象大気汚染物・水汚染物排出口が生産経営地とは異なる省級行政地域にある場合、生産経営地の税務機関が管轄する。

 環境行政部門と税務機関の業務を如何に連携するかについて、同パブコメ版によると、①税務機関は環境行政部門が伝達した汚染排出事業者情報に基づき納税者識別を行い、②各級税務機関・環境行政部門は納税者への指導研修を強化し、納税コンサルサービスを行う、③環境行政部門は、納税者が申告した課税対象汚染物排出情報及び適用する汚染排出係数・物質収支計算方法が規範を満たさないことを発見した場合、税務機関に通知して処理する、④税務機関は法により環境保護税の税務検査を実施し、環境行政部門はこれに協力する――とした。

・財政省、国家税務総局、環境保護省『環境保護税法実施条例(パブコメ版)』

http://www.chinatax.gov.cn/n810214/n810606/c2682982/content.html

<界面ニュース、中国環境報より>

http://huanbao.bjx.com.cn/news/20170627/833367.shtml

http://www.mep.gov.cn/xxgk/hjyw/201706/t20170628_416808.shtml

 

中国環境保護税制度の対応実務

 

特に実務的に重要になるのが次の問題である。

 

VOC単独課税があるのか?

 VOC対策の一環として、2015年にVOC汚染排出費の単独課金実証事業が始まった。実際には石油化学と印刷包装の2業種(北京、上海、山東では対象業種を追加)で、2016年~2017年頃から各地で始まった。

 元の汚染排出費制度では、各汚染項目の汚染当量数(実排出量を項目別汚染当量値で割った数値)が上位3項目に入らないと課金されず、大半はSO2NOx、粉塵で上位3項目を占め、トルエンやキシレンといったVOC各項目が上位3項目に入ることは少なく、VOC排出抑制効果が低かった。そこでトルエンやキシレンなどVOCについては、上位3項目に入らなくても単独で課金することにした。

 VOC汚染排出費の単独課金実証制度は、現行の汚染排出費制度をベースに上乗せした制度となっており、環境保護税制度になった後、こちらも環境保護税制度をベースに上乗せした制度になるのかどうか、現在は未定である。

 オフィシャルな解説によると、「条件が整ってくればVOCも対象に入れる」となっている。それではすぐには対応不能ということで、201811日からの環境保護税導入には間に合わず、当面は汚染排出費上乗せ制度方式で間に合わせる可能性があると思われる。もしこれなら環境保護税は税務機関に申告、VOC単独課金上乗せ部分は地方環境保護局に申告するという複雑な構図になる。いずれにせよ今後の通達待ちとなる。

 

・具体的な計算方法

 排出した汚染物の種類・量を、汚染当量に基づいて計算。汚染当量当たり徴収基準は大気1.2元。

 各排出口につき、汚染当量の多い順に上位3位まで。

 ある汚染物の汚染当量数:汚染当量数=(排出量(kg))÷(汚染当量値)

 環境保護税の計算:排ガス課税係数1.2元×上位3項の汚染当量数の和

 

計算例:企業Aのある排出口(1ヶ月)

                                                       
 

 

 
 

排出量(kg)

 
 

汚染当量値

 
 

汚染当量数

 
 

SO2

 
 

50

 
 

0.95

 
 

52.6

 
 

NOx

 
 

60

 
 

0.95

 
 

63.2

 
 

粉塵

 
 

90

 
 

2.18

 
 

41.3

 
 

CO

 
 

10

 
 

16.7

 
 

0.6

 
 

ベンゼン

 
 

2

 
 

0.05

 
 

40

 
 

トルエン

 
 

2

 
 

0.18

 
 

11.1

 

 

 この場合、汚染当量数の多い順の3項目にはSO2NOx、粉塵となる。したがって、次の通り計算する。

 

環境保護税額1.2×(52.663.241.3)188.52

 

 なお、次の点にも留意する必要がある。

①排出口ごとに計算し、最終的に合算する

②大気の場合、無組織排出(漏洩排出)も別途計算する。

③排水の場合、第1類汚染(上位5項目)とその他(上位3項目)で分けて計算する。

④排水の場合、下流に工業廃水処理場がある場合、環境保護税は課されず、汚水処理費を支払う。

⑤地方によっては、この課税係数が引き上がる。特に項目によって課税係数が異なる地方もある点に注意。

 

・地方の課税額はどうなるのか?

 現行の汚染排出費も、2014年通達を受けて各地で引き上げられた(全項目ではなくSO2NOxCODA-Nのみというケースが多い)。特に天津では約9倍、北京では約15倍となった。これは、環境設備を導入するより汚染排出費を払う方が安上がりであるという経済的インセンティブが働かない上、物価上昇により汚染排出費の負担感がさらに軽くなったことが背景にある。また元々環境保護税への転換時に引き上げることを想定していたが、時間がかかってしまうため、環境保護省等が通達形式で各地方環境保護局に引上げを指示していた。

 環境保護税の課税レベルは、2014年通達後の汚染排出費の料金レベルとほぼ同等であるが、一部地方では汚染排出費の料金を引き上げているため、地方の環境保護税も引き上げられると予想される。一部の環境保護税額引き上げ状況は下表の通り。

 

                                                                                               
 

地方

 
 

大気課税係数

 
 

排水課税係数

 
 

課税項目数

 
 

現行との比較

 
 

決定状況

 
 

全国

 
 

1.212

 
 

1.414

 
 

・大気排水3

 

1類排水5

 
 

最低係数不変

 

1類排水追加

 
 

決定済み

 
 

福建

 
 

1.2

 
 

重金属、CODA-N1.5元、その他1.4

 
 

全国と同じ

 
 

ほぼ不変

 
 

決定済み

 
 

浙江

 
 

重金属1.8元、その他1.2

 
 

重金属1.8元、その他1.4

 
 

全国と同じ

 
 

大気重金属のみ引上げ

 
 

提案中

 
 

江蘇

 
 

4.8

 
 

5.6

 
 

全国と同じ

 
 

 

 
 

提案中

 
 

南京

 
 

8.4

 
 

8.4

 
 

全国と同じ

 
 

 

 
 

提案中

 
 

広東

 
 

1.8

 
 

2.8

 
 

全国と同じ

 
 

引上げ

 
 

提案中

 
 

山東

 
 

SO2NOx6.0元、その他1.2

 
 

1.4

 
 

全国と同じ

 
 

不変

 
 

提案中

 

 

中国環境保護税制度 工場側の留意事項まとめ

 

 現行の地方汚染排出費制度がほぼそのまま移行される(排水第一類を除く)と予想されるが、詳細は地方当局の通達や制度を注視する必要あり

 企業側が排出量データの証明責任を負うため、発生源モニタリングを強化する必要あり

 工場内では環境部、財務部のどちらが担当になるか、あるいは共同担当になるか、各社で議論が必要

 納付率の高い日系企業にとっては、金額負担が増えるケースは少なく(排水第一類を除く)、むしろ優遇適用で負担が減ることもある

 税の横展開(別の未納税と併せて取り立てる)に留意

 サプライヤの納税状況、税負担増による価格向上に留意

 2015年通達の排気中のVOCへの単独課金は別規定で維持されるかは未定

 四半期ごとの支払いとなる

 

2017年10月 3日 (火)

この秋冬、中国で強烈な環境規制が導入 生産停止が続出

もともと103日、4日に都内で中国環境規制セミナーを開催して、中国環境規制の最新情勢をお伝えする予定であったが、外国人就労許可制度の変更に伴う更新手続きに想定以上に時間がかかり、元のセミナーの日程までの帰国が不可能になった。このためセミナーは20182月下旬に延期とさせて頂いた。

(セミナー案内ページ)

http://www.jcesc.com/seminar21-22.html

そこで、このセミナーで取り上げる予定であった、この秋冬の強烈な中国環境規制について、本ブログで簡単にまとめたい。

この秋冬の強烈な中国環境規制には、大きく2つの流れがある。第一に環境取締りの強化、第二に『大気汚染防止行動計画』最終年のラストスパートである。

 

第一の流れ:異次元の環境取締りの強化

 

環境取締りの強化は今までにも行われており、例えば201511日施行の環境保護法では、日数罰金制度、閉鎖差押え、生産停止改善、行政拘留、公益訴訟が盛り込まれた。更には「約談」(行政指導)、環境モニタリング/発生源モニタリングの強化、最近中国でよく導入されている採点評価手法を導入した危険廃棄物取締り制度など枚挙にいとまがない。これら環境処罰件数はうなぎ上りに増えている。振り返れば2005年頃、当時の国家環境保護総局の潘岳副局長が主導した環境アセス取締りの嵐、区域・流域認可制限(原文;限批)制度、グリーンGDP等も印象深かった。

 

しかし2016年後半から本格化した「中央環境査察」の破壊力は、かつて例がないほどすさまじい。なにせ中国共産党中央委員会(いわゆる党中央)と国務院が主導するため、地方環境当局にとっては逃げ場がない。今までは中央や地方の環境行政が取締りを主導していたが、この「中央環境査察」では中国権力構造の最上位が主導しており、その破壊力は異次元レベルである。

 

例えば、今までは工場で何らかの環境法令違反が判明したとしても、地元の環境保護局は、地方経済への貢献、税収、失業率、行政側の失態追及回避等を考え、見て見ぬふりをしていた、あるいは接待や袖の下を受けて見て見ぬふりをしていた(罰則軽減も含む)わけであるが、中央査察ではそれが一切通用しないどころか、過去の問題点を追及されて処罰された地方環境役人が続出し、その数は1万人を超えた。

 

中国内日系企業でも、2016年後半から地方当局の態度が強硬に杓子定規的に変わったという事例が多いが、それはこのような背景に起因している。

 

またこの「中央環境査察」も予兆はあった。2012年第18回党大会で「五位一体」(経済建設、政治建設、文化建設、社会建設、生態文明建設)が打ち出され、20157月に党中央全面改革深化指導小組が「環境保護査察方案(試行)」を可決、翌年から「中央環境査察」がスタートした。

 

中央環境査察チームは1期ごとに78(直轄市等含む)に派遣され、第4期が20178月に始まりこれで全国を一巡することになる。この第4期では、吉林、浙江、山東、海南、四川、チベット、青海、新疆が対象となる。一般からの環境苦情を受け付け、さらに査察チーム自ら工場への立入検査も行っている。

 

中央環境査察では、取締りや処罰をやりっ放しにせず、省別に膨大な改善ノルマリストを作成・公開し、改善状況も逐一チェックしている。

 

この中央環境査察は一過性の措置ではなく、「環境保護査察方案(試行)」により党内で制度化されている(非公開)。つまり今後ずっと続くのであり、今年や来年で終わるものではなく、企業側としても今後恒常的に対応する必要がある。さらにこの環境査察は、中央だけでなく、省レベルでも広がっており、細かい地方にまで浸透しつつある。

 

それでも「上に政策あれば下に対策あり」で査察逃れも若干存在する。例えば査察チームの進駐後、一部地方政府は地域の工場を全て臨時操業停止にして問題が発覚しないようにする例もある。ただ徐々に包囲網が厳しくきめ細かくなっており、いずれ査察逃れもほとんどなくなると思われる。

 

その成果として、すさまじい数の環境対策不十分な企業を生産停止に追い込み(立入検査企業の約2/3で法令違反が判明)、それまで国際社会から批判されてきた中国の生産能力過剰問題が瞬く間に解決したばかりか、逆に世界市場での原材料製品の供給不足や価格高騰を引き起こすまでになった。価格高騰は、需給バランス要因のほか、企業の環境対策投資が進んだことも要因である。今の中国では、「環境対策のためには、GDP影響、失業率、税収など関係ない」という本気の環境規制が進んでいるといえる。

 

第二の流れ:『大気汚染防止行動計画』最終年のラストスパート

 

中国では20131月より新たな大気環境モニタリング体制がスタートし、北京等でPM2.5等を測定・公表するとその数値が極めて高く、大気汚染騒動が勃発、発足間もない習近平政権は20139月『大気汚染防止行動計画』を策定した。大気汚染対策は一定の成果を挙げ、各地で大気汚染は改善した。しかし京津冀(北京-天津-河北)において、それまでのペースでは『大気汚染防止行動計画』で示された最終年である2017年の改善目標の達成が難しいとされ、強硬な大気汚染対策を導入した。具体的には20167月『京津冀大気汚染防止強化措置(20162017年)』を公布、さらに20178月『京津冀及び周辺地区2017年~2018年秋冬季大気汚染総合対策強硬行動方案』(及びその下位政策6)を公布した。

 

この大気環境対策はあまりにも強硬なため、この秋から来春にかけて、京津冀及び周辺地区、特に大気汚染経路都市「226」ではほとんど製造業の工場稼働や工事ができないほどである。

 

※大気汚染経路都市「226」は、北京、天津、河北省の石家荘、唐山、廊坊、保定、滄州、衡水、邢台、邯鄲、山西省の太原、陽泉、長治、晋城、山東省の済南、淄博、済寧、徳州、聊城、濱州、菏澤、河南省の鄭州、開封、安陽、鶴壁、新郷、焦作、濮陽の計28都市を指す。

 

この『強硬行動方案』の製造業に係る具体的措置は次の通り。

・「散乱汚」(分散・非規範・汚染)型企業/クラスタの総合取締り

・バラ石炭汚染総合対策、石炭ボイラ対策

 →石炭を使用している工場は取締り対象

・工業企業の無組織排出管理(粉塵、砂埃対策)

 →頻繁な水撒き、土の部分のコンクリート化、緑化等

・工事現場の砂埃対策

 →工事現場を巨大プレハブで囲み監視カメラを設置

 ()北京の地下鉄工事現場では巨大プレハブで完全包囲

 →それ以外では、北京は4ヵ月、天津は6ヶ月工事禁止

・重点産業向け排出許可証の発行

・移動汚染源厳格規制(トラック、工事機械含む)

 →物流網が寸断

 →エアコンプレッサ、フォークリフト等も要注意

・工業企業ピークシフト生産/輸送

 →夜や休日に生産/輸送を行う

・重点分野VOC対策

 →有機溶剤対策、LDAR、工場建屋・設備の密閉化、原料代替

 →社内食堂の廃ガス対策も要注意

・排ガス自動監視の全網羅

 →発生源モニタリング、工場境界部大気濃度モニタリング、工業団地大気濃度モニタリング

・重度大気汚染警報対応

 →大気汚染警報が出れば生産停止/制限やトラック走行停止

 →大気汚染警報時の排出量を削減

                                                 
 

警報

 
 

SO2

 
 

NOx

 
 

PM

 
 

VOC

 
 

青色

 
 

 

 
 

 

 
 

5%

 
 

5%

 
 

黄色

 
 

10%

 
 

20%

 
 

30%

 
 

10%

 
 

橙色

 
 

10%

 
 

20%

 
 

30%

 
 

15%

 
 

赤色

 
 

10%

 
 

20%

 
 

30%

 
 

20%

 

・中央環境特定査察(前述の通り)

 

河北省廊坊市の事例

 

筆者は915日、ジェトロ北京と廊坊市日本人会との共催による中国環境規制セミナーにて講師を務めた。その際に、強硬な大気環境規制の実状を視察した。その中で印象に残った内容は次の通り。

 

①市内路線バスは秋~冬に完全無料化

 →マイカー利用を控えるための措置

②霧吹き車が頻繁に大通りを行き来

③廊坊市外トラックを進入禁止

④毎日立入検査

⑤工場内に監視カメラとモニタリング機器を設置

⑥工場建屋の密閉(換気扇含む)と印刷設備の密閉の二重密閉指導あり

VOC処理装置の設置指示

⑧工事の禁止

 

印象としては、わずかな砂埃も許さない、わずかなVOC排出も許さないという感じである。

 

日系企業への影響 大きな経営リスクに

 

このような厳しい環境規制により、現地日系企業にも次のような影響が出ている。

 

①環境罰金(罰金だけで解決するわけではなく、設備改善まで必要)

②法令違反が見つかり改善するまで生産停止

※日系企業でも環境法令違反は多い

③汚染型工程の運行停止指示を受け、外注先探しを行うもリスク有り

④サプライヤーが生産停止になり、調達が困難に

⑤大気汚染警報が出れば、工場稼働も物流もストップし、納期に間に合わない

⑥工事ができず、生産ラインの改造・拡張が停止

⑦日本人経営者が帰国できなくなる

⑧上記の各種コスト増により経営環境が悪化

 

環境規制は、日系企業だけを狙い撃ちしているという指摘もあるが、これは正確ではない。環境処罰企業の圧倒的多数は中国資本企業であり、日系企業は約23%程度である。実際に韓国資本企業が中国環境規制で撤退に追い込まれた事例が続出しているほか、欧米自動車工場の中国内サプライチェーンも寸断されて経営難に陥っている事例も見られるようになった。

 

中国、超強力環境取り締まり…廃業する韓国企業続出(1)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170921-00000021-cnippou-kr

中国、超強力環境取り締まり…廃業する韓国企業続出(2)

http://japanese.joins.com/article/674/233674.html

中国の車部品工場、環境規制で操業停止 GM・VW車に影響も

https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21337210Q7A920C1FFE000/

中国が大型プロジェクトを中止へ、環境汚染が深刻な地域対象に

https://jp.reuters.com/article/china-pollution-idJPKCN1BW0DJ

 

2018年以降も新たな環境規制が続々登場

 

中国は2018年以降も新たな環境規制を続々打ち出している。主なものは次の通り。

①改正水汚染防止法の施行(201811日より)

②環境保護税法の施行(201811日より)

③新たな汚染排出許可証制度の導入(2017年より業種別に推進)

④土壌汚染防止法の制定(2018年頃?)

⑤各種排出基準の制定・改定・強化

⑥発生源モニタリング・排出口整備の推進(2017年より業種別に推進)

⑦環境アセス-環境検収制度の大改革(2016年より推進)

⑧環境各分野の第13次五ヵ年計画(2017年より続々公布)

 

この秋冬の厳しい大気環境規制を乗り切っても、その後も新たな環境規制が待ったなしで続々導入される。中国での日系企業環境対策は恒常的に強化しなければ生き残れないであろう。

 

旧態依然とした本社側の認識

 

このように強烈な環境規制・取締りが導入され、環境規制がすでに大きな経営リスクになっているにもかかわらず、本社側の認識が甘いというケースが多い。代表事例は次の通り

①「中国では汚染を垂れ流しており、環境規制はザルである」という昔のイメージのまま

 中国の公害は日本よりひどいため、工場の環境規制は甘いと誤解されている。今でも汚染垂れ流し事例は根絶できていないが、都市部では激減しており、主に事故や環境設備の故障に起因している。故意による汚染垂れ流しは環境汚染罪という刑法上の犯罪に相当し、その法人代表者は実刑判決を受けている。

②「問題があれば市政府の幹部を接待等して解決できる」という昔のやり方にこだわっている

 腐敗・汚職撲滅は徹底しており、行政側も応じなくなってきている。杓子定規的に法令を適用しないと、役人も地位が危ない。正規のルートで、理詰めで交渉するのは構わない。

③「日本の工場環境対策は中国より進んでおり中国の環境規制を楽にクリアできる」と思い込んでいる

 中国の環境規制の特殊性や企業環境管理の現場を理解していない。

 

日系企業のあるべき対応

 

①全社挙げての取り組み

②中国の環境規制を侮らずしっかり研究し、先を読んで対策を立てる

③過剰とも思えるぐらいの徹底した中国環境規制対応を行う

④サプライチェーン全体で環境規制対応を検討する

⑤戦略・情報・監査等面で、中国環境規制に詳しい専門家を活用

 

※中国環境規制の把握・対応には必ず原文全文や法体系を読み込む必要があるが、これらを把握できていないのに中国環境コンサル業務を行っているケースもあるので、第三者環境コンサル会社もしっかり検討する必要がある。

 

日系製造業には、これらを踏まえてこの秋冬の中国、特に京津冀及び周辺地区の厳しい環境規制をクリアして発展して頂きたい。この環境規制には、日系企業も対応に苦しんでいるが、中国資本企業はもっと悲惨な状況に追い込まれており、対応をしっかり行えるようになれば、中国内の競合他社は激減し、廃業にならなくても彼らの価格競争力は低下するようになるため、相対的には日系の経営環境はむしろ改善すると思われる。

 

2017年8月21日 (月)

第22回JCESC中国環境セミナー 2018年以降の製造業拠点向け中国環境規制対応 中上級編

日中環境協力支援センターでは、東京にて2018年2月27-28日に中国製
造業拠点担当者向け環境規制実務対応セミナーを開催いたします。

本セミナーでは、製造業(工場)環境・省エネ規制の最新動向とその対応
に焦点を絞って、実務面から解説を行います。

今回、新たに中国環境管理担当になられた方、初めてご参加の方、中国環
境規制の全体像を復習されたい方向けに「入門編」を、また最新情報をメイ
ンにお聞きになりたい方向けに「中上級編」を企画しました。


――――――――――――――――――――
■第22回JCESC中国環境セミナー
□日時:2018年2月28日(水)13:30~16:45
□テーマ:2017年以降の製造業拠点向け中国環境規制対応 中上級編
※第21回セミナー(初級編)とお間違え無いようご注意下さい
□会場:東京品川区(詳細はお申込み後にお知らせします)
□講師:日中環境協力支援センター 取締役 大野木昇司
□主な対象:
中国に工場を持つ製造業企業の環境・法規担当
□定員:40名

□プログラム

第1章 20187年以降の中国環境規制最新動向
・2018年以降の製造業向け中国環境規制の概観
中国環境制度改革の方向性
・VOCを主とする大気汚染規制
VOCでは濃度規制・総量規制・無組織(漏洩)排出規制・単独排汚費・
工場密閉化・生産工程エコ化・LDAR等を導入
大気汚染緊急規制でサプライチェーンが寸断
・変わる危険廃棄物管理制度
危険廃棄物リストが改定/電子マニフェストが導入/取締りの重点
・新たに導入される環境保護税と現行の排出費
排汚費が環境保護税にそのまま移行されるわけではない
地方通達が重要
・大改革中の新排出許可証制度
環境諸制度を新排出許可証制度に統合へ/総量規制盛り込まれる
業種別段階的に導入され2020年には全国全製造業が対象に
・大改革中の環境アセス/環境検収/三同時制度
事後管理強化のため過去の環境アセス不備で処罰される企業が激増
総量規制に引掛る、住民意見反対等で環境アセスが通らない事例が急増
・新たに導入される企業環境リスク規制
環境リスク調査/環境事故緊急対応プラン作成/環境責任保険
・諸制度改革で導入が進む汚染源モニタリング
企業側が環境コンプライアンスを証明しなければならない
・その他の動向
省エネ規制/CO2規制/土壌汚染規制/環境情報公開/台帳管理/グリーン製造業
2022年までの環境保護標準計画

第2章 環境管理実務・対応法の注意点(中上級)
・中国内製造業の環境管理部門の実情
  ブラックボックス化/専門的な第三者企業による監査が重要
・本社側の対応と現場の対応
・グローバル環境方針の落し穴
・過去のやり方を参考にすると大きな失敗に
・不可欠な早めの環境規制情報の収集
規制情報を事前に知る方法
・ローカルスタッフに要注意
・「日本のやり方で十分」の自己満足的やり方は禁物

第3章 当社の中国内企業環境マネジメントに関する業務紹介

質疑応答
※コンテンツは、最新の動向を踏まえて変更する可能性があります。

□詳細について
料金、申込方法、連絡先、講師略歴、優遇等は、以下URL参照
http://jcesc.com/seminar21-22.html

お気軽にお問合せ下さい。

第21回JCESC中国環境セミナー 製造業拠点向け中国環境規制対応 入門編

日中環境協力支援センターでは、東京にて2018年2月27-28日に中国製
造業拠点担当者向け環境規制実務対応セミナーを開催いたします。

本セミナーでは、製造業(工場)環境・省エネ規制の最新動向とその対応
に焦点を絞って、実務面から解説を行います。

今回、新たに中国環境管理担当になられた方、初めてご参加の方、中国環
境規制の全体像を復習されたい方向けに「入門編」を、また最新情報をメイ
ンにお聞きになりたい方向けに「中上級編」を企画しました。

――――――――――――――――――――
■第21回JCESC中国環境セミナー
□日時:2018年2月27日(火)13:30~16:45
□テーマ:製造業拠点向け中国環境規制対応 入門編
※第22回セミナー(中上級編)とお間違え無いようご注意下さい
□会場:東京品川区(詳細はお申込み後にお知らせします)
□講師:日中環境協力支援センター 取締役 大野木昇司
□主な対象:
中国に工場を持つ製造業企業の環境・法規担当
□定員:40名
※定員に達すると早めに受付を終了するため、お早めにお申し込み下さい。
□プログラム

第1章 環境法令体系の全体像と仕組み
・中国の製造業拠点向け環境法令の仕組み
法律・条例・弁法・規定と計画・事業方案・意見
法令順守の実情
・中央と地方との法令制度の関係
・標準政策と各種環境標準
・環境法令の読み方
・制度別の環境規制概要解説
  環境アセス/濃度規制/総量規制/モニタリング/排汚費(環境税)
/排出許可証
・分野別の環境規制概要解説
  大気汚染対策/排水規制/産廃規制/騒音規制/省エネ規制/
CO2規制/化学物質規制

第2章 急増する環境罰則と環境訴訟
・別次元に昇華した中国の環境取締り
・実状と日系企業事例
・環境罰則の種類
・環境取締りの重点とその方法
・環境処罰の初動対応

第3章 環境管理実務・対応法の注意点(初級)
・日本との違いを理解する
・中国の法令・制度を理解する

第4章 当社の中国内企業環境マネジメントに関する業務紹介
質疑応答

※コンテンツは、最新の動向を踏まえて変更する可能性があります。

□詳細について
料金、申込方法、連絡先、講師略歴、優遇等は、以下URL参照
http://jcesc.com/seminar21-22.html
お気軽にお問合せ下さい。

2016年8月30日 (火)

中国内日系製造業環境管理や中国向け電子製品・部品メーカーが対応すべき中国環境管理政策の新たな動き

 現在中国内での製造業環境管理関係者の注目点は、2015年1月1日の改定版環境保護法とそれに伴う罰則強化、2016年1月1日の改定版とそれに伴うVOC(揮発性有機化合物)廃ガス規制強化、土壌汚染防止行動計画(通称、土十条)による土壌汚染防止法の制定(2018年頃の見込み)、CO2排出規制などであろう。これらも当然重要であり、セミナーでも解説する予定であるが、しかしこれではウォッチは不充分である。中国環境規制は、日本では報じられていない大きな変革の流れがいくつもあり、今後その対応が必要になってくる。

・規制緩和と規制強化

 国務院は現在、経済刺激策の一環として、また経済構造転換のため、規制緩和を進めている。具体的には審査を廃止して届出制にしたり、中央審査を地方審査にしたり、管理制度そのものをなくしたりしている。標準分野では「強制標準の整理・統合・簡素化」、「企業標準の自己宣言公開制度化」が進んでいる。環境分野でもこの流れにあり、例えば企業上場前環境審査を廃止し、中国版PRTRとも称される危険化学品環境管理登記弁法を廃止した。  その一方で、汚染排出規制については大幅に強化している。排出基準値は今や日本より厳しく、排出量に対して課金する汚染排出費制度、個別工場向け総量規制の導入といった制度面のみならず、今までは甘かった環境制度運用の厳格化、立入検査等取締り強化、日数罰金等処罰強化なども進めている。

・環境アセス制度の改革

 環境汚染を有効に改善できない要因の一つに環境アセス制度の不徹底が挙げられていた。環境汚職の温床ともなっていたが、環境大臣交代により停滞していた環境アセス制度改革が加速した。具体的には、環境アセス有資格事業者の行政組織からの分離、計画環境アセス強化、小影響事業の審査制から届出制への変更による大中影響事業へのリソース集中、環境アセス報告書の情報公開等が挙げられる。

・環境諸制度を排出許可証主体の環境管理制度に統合

 これまでバラバラにできていた環境アセス、排出申告、排出許可証、総量規制、濃度規制、排出費、排出権取引などの環境諸制度を、「排出許可証」を軸とした環境管理制度に統合する方向性を、環境保護省が打ち出した。これまで以上に総量規制が強調されることになり、汚染型産業はゼロエミッション対策をせざるを得なくなっている。

・全包囲網的な環境監視

 最近の環境規制は行政による強制力の強化のみならず、経済界や住民の力を活用した環境監視強化などの全包囲網的な環境監視に特徴がある。

 行政系の強制力には立入検査等取締り、公安機関との連携、司法機関との連携、オンラインモニタリング強化(ビッグデータ、IoT等の影響で大きく強化される見込み)等がある。

 経済界を活用した環境監視には環境責任保険(保険会社による環境リスクの査定あり)、企業環境信用制度、グリーンサプライチェーン制度等がある。

 住民の力を活用した環境監視には環境情報公開、住民通報、市民参加、公益訴訟等がある。

・グリーン製造工場政策

 国務院「中国製造2025」の一環として「グリーン製造工場」の方針が打ち出された。これは、単なる排出規制ではなく、製造工程そのもののエコ化・グリーン化を指す。具体的には原材料・エネルギー・水の使用効率向上、汚染排出とCO2排出原単位の改善、環境・省エネ・リビルド産業の振興、有毒有害物質の代替、エネルギーや産業廃棄物のリサイクル推進、エコデザイン・拡大生産者責任制、LCA徹底化、クリーンエネルギーへの転換、工業団地単位でのエコ化などである。

 排出規制は環境保護省の専権事項であるが、製造工程での環境対策や省エネはむしろ工業・情報化省や国家発展改革委員会の担当となっており、中国の環境行政だけを見て環境管理していれば見落とすことになる。

・多種の環境ラベルを大統合へ

 中国には現在、環境ラベル認証制度が乱立している。代表的なものだけでエネルギー効率ラベル、環境ラベル、環境ラベル低炭素認証、省エネ(節水)製品ラベル、低炭素製品認証、リサイクルラベル、中国RoHS、トップランナー制度、エネ効率スターラベル等がある。さらにカーボンフットプリント、製品エコデザイン制度も検討されている。省庁ごとの利権もあって乱立状態となったが、今では行政側も業務重複による浪費となり、メーカー側もそれぞれ認証を取得すればコストがかさみ、一般消費者も選ぶのに苦労することになるなど弊害が目立つようになった。2014年にようやくこれらのラベル・認証制度を大統合する方針が示された。現在、環境ラベル大統合に向けた検討が進められている。

 中国内日系製造業環境管理や中国向け電子製品・部品メーカー等は以上の内容について対応が求められている。以下の10月セミナーではこれらの内容についても解説する予定である。

□第15回JCESCセミナー「製造業向け中国環境規制の最新動向とその対応」

・テーマ:製造業向け中国環境規制の最新動向とその対応  ~VOC等大気汚染、CO2、土壌、危険廃棄物規制等~

・日時/場所:2016年10月4日(火)13:30~16:45 東京都品川区 ・定員:40名(定員に達すれば受付終了)

・プログラム、講師略歴、料金、申込方法、優遇等は以下URL参照 http://www.jcesc.com/jcescseminar/seminar15_04oct16tk.html

□第16回JCESCセミナー「中国の電子製品環境規制の最新動向とその対応」

・テーマ:中国の電子製品環境規制の最新動向とその対応  ~中国RoHS2.0・WEEE、大統合に向かうエコラベル制度等~

・日時/場所:2016年10月6日(木)13:30~16:45 東京都品川区 ・定員:40名(定員に達すれば受付終了)

・プログラム、講師略歴、料金、申込方法、優遇等は以下URL参照 http://www.jcesc.com/jcescseminar/seminar16_06oct16tk.html

2015年9月 5日 (土)

「新大気汚染防止法」解説:製造業は更なる対応が必須 環境技術ニーズも増大

 全人代常務委員会は8月29日、改定版大気汚染防止法を公布した。15年ぶりの改定となる新法は2016年1月1日より施行される。新法では、重点地域大気汚染共同対策、重汚染天候対応、大気対策基準と期限内改善計画の章が新たに設けられ、2015年1月1日より施行された改定版環境保護法を踏まえて罰則が大幅に強化され、脱硝・VOC(揮発性有機化合物)対策・水銀除去・POPs(残留性有機汚染物質)・有毒有害大気汚染対策が導入された。地方行政の権限と責任を強化したほか、大気汚染対策に関してより細かなケースについても規定し、この15年間で下位法令や地方法令などで規定された内容を数多く盛り込んでいる。これにより、大気汚染対策は一層進み、製造業にとっては更なる対応が必要となり、大気汚染処理分野の市場は大きく拡大するとみられる。その概要は以下の通り。

■大気汚染対策の監督管理
 新法では、国務院は、各省級政府の大気環境質改善目標や大気汚染防止重点任務の達成状況を審査し、その結果を公表することを新たに規定した。
 大気対策基準と期限内改善計画について一つの章を設け、大気環境質基準や大気汚染排出基準や期限内大気改善計画を策定する場合、関連部門・業界団体・企業・住民などに意見を募るとし、省級環境行政部門はそれらの基準を一般公開するとした。また石炭・バイオマス燃料・塗料などVOCを含む製品やボイラ製品要求などでは大気環境保護要求を盛り込み、ガソリン品質基準は国家大気汚染規制要求に対応し、排気ガス基準に合わせて策定するとした。
 環境影響評価手続きの義務付けは不変であるが、新法ではその文書を公表するとした。大気汚染排出基準の順守、重点大気汚染物排出総量規制の順守は不変であるが、総量規制では現行の重点「2つの規制区」(酸性雨規制区及びSO2規制区)の文言が廃止されて、全国を対象とすることとなった。これに伴い、「2つの規制区」内で定められている汚染排出許可証制度を全国に拡大するとし、排出権取引事業の推進を規定した。
 工業廃ガスを排出する企業、有毒有害大気汚染物を排出する企業、集中熱供給の石炭熱源経営事業者、その他汚染排出許可管理対象の企業は、汚染排出許可証を取得するものとした。
 法令に基づき大気汚染排出口を整えることを新たに規定した。また隠蔽排出、モニタリングデータの改竄・偽造、立入検査逃れの臨時操業停止、大気汚染処理施設の不正常稼働を禁じた。
 企業は、工業廃ガスや有毒有害大気汚染物質の排出状況をモニタリングし、その生データを保管するとした。そのうち重点汚染排出企業(省・市政府がリストを公表)は、自動モニタリング設備を設置・使用し、環境行政部門とネットワーク接続し、その設備の正常稼働を保障し、排出情報を公表するとした。この部分は部門規章等の別の下位法令で規定されていたが、大気汚染防止法の改定で新たに盛り込まれることとなった。
 現行法では大気環境を深刻に汚染する設備の淘汰制度を規定しているが、新法では設備だけでなく生産工程や製品も淘汰対象とした。大気汚染損害評価制度を新たに規定した。汚染排出企業に対する検査手法として、現行法で規定している立入検査だけでなく、自動モニタリング、リモートセンシング、遠赤外線撮影等も規定した。
 法令に違反して大気汚染を排出して深刻な汚染を引き起こした、または引き起こし得る場合、または証拠隠滅のおそれのある場合、環境行政部門は施設・設備・物品の封鎖・差押え等の行政強制措置を行えると新たに規定した。
 現行法では、誰にでもどの組織にも通報の権利があると簡単な規定のみであるが、新法では通報しやすい連絡先の整備、密告含め通報者の権利保護、通報内容の調査と結果公表、通報者への奨励など詳細に規定した。

■大気汚染防止措置
 大気汚染防止措置の章では、①石炭とその他エネルギー、②工業汚染対策、③自動車・船舶等汚染対策、④砂埃汚染対策、⑤農業とその他汚染対策の5節に分けて詳細に規定している。
 石炭とその他エネルギーの節では、一次エネルギーに占める石炭の割合の削減、クリーンな石炭の利用、石炭のクリーン利用、炭層ガス・石炭ボタ・シェールガス・天然ガス・電力・再生可能エネルギー等の奨励を定め、特に高汚染型燃料禁止区域では燃料転換を義務付けた。また石炭火力発電等石炭使用事業者に対し、集塵・脱硫・脱硝・水銀除去等の措置を一体的に導入するよう求めた。新法では脱硝・水銀除去を新たに盛り込んだ。
 工業汚染対策の節では、現行法の脱硫措置導入に加えて、脱硝・VOC対策を盛り込んだ。特にVOC対策では、低毒・低VOC型の有機溶剤の奨励、VOC含有原材料・製品の生産・輸入・販売・使用時の含有量規制順守、VOC廃ガスを排出する生産・サービス活動の密閉空間化や排出削減措置、工業塗装企業の低VOC型塗料の義務付けと記録台帳の保管、石油・化学工業でのVOC漏出防止導入を盛り込んだ。
 自動車・船舶等汚染対策の節では、自動車・船舶に加えて農機具など非道路用移動機械も対象とした。環境規程を順守できない場合、リコールの対象とした。排気ガス基準を守れない場合、修理を義務付け、それでも順守できなければ強制廃棄となるなど、汚染型自動車への圧力を強化した。
 砂埃汚染対策では、建設工事現場での砂埃・粉塵対策を現行法より詳細に規定した。
 農業とその他汚染対策の節では、農業分野のみならず、畜産養殖汚染対策、屋外焼畑禁止、さらには指定の有害有毒大気汚染物質に対する環境リスク管理や定期モニタリング、POPsや焼却施設への対策、悪臭ガス排出対策(現行法にも規定あり)、飲食店・火葬場・自動車修理・ドライクリーニング対策、オゾン層破壊物質の生産・使用・輸出入の総量規制と割当管理(現行法にも規定あり)を規定している。

■重点地域大気汚染共同対策と重汚染天候対応
 重点地域大気汚染共同対策は新たに設けられた章であり、行政区域を越えた広域的な大気環境対策を盛り込んでいる。重汚染天候対応も新たに設けられた章であり、深刻な大気汚染状態が続くことが予測される場合、建設工事の停止、自動車走行規制、工場生産制限、学校屋外活動停止などの緊急対策措置を発動することを盛り込んだ。

■大幅に強化された処罰
 法的責任の章では、処罰金額を大きく引き上げた。例えば大気汚染排出基準を超えた場合、現行法では期限内改善命令と1万~10万元の罰金となっているが、新法では改善命令または生産停止改善と10万~100万元の罰金となっている。新環境保護法で規定された日数罰金も盛り込まれているため、現行法の上限50万元が、理論上は上限がなくなる。このほか、罰則規定が増え、90近くの行為を罰則対象とするなど、より詳細になった。

■今後の注意点
 なお、中国の法律は一般に原則・方向性・方針的な内容が多く、多くの条項で詳細は別途策定する下位法令や標準規格を参照するように書かれており、今後公布される見込みの下位法令や通達、重点汚染排出企業リスト、有毒有害物質リスト、標準規格などの情報をしっかりフォローし、対応していく必要がある。

■企業の対応すべき内容
(当社有料会員企業にのみ提供)

2015年8月24日 (月)

第12回JCESCセミナー:製造業向け中国環境規制対応実務講座(10月2日)ご案内

 日中環境協力支援センターでは、東京品川にて10月2日に中国環境マネジメント実務講座セミナーを開催いたします。皆様のご参加をお待ち申し上げます。
 中国では今年より環境保護法が改定施行され、環境税法など54の付随措置が続々制定されています。この環境保護法の枠組みのほかにも、VOC規制、土壌汚染規制、CO2排出規制、省エネ規制、危険廃棄物管理強化、公益訴訟推進など、中国内の製造業をめぐる環境管理の情勢は激変しています。
 中国に工場をお持ちの企業にとって必見となる環境リスク対策実務講座です。

■第12回JCESC中国環境セミナー

□日時:2015年10月2日(金)13:30~16:45
□テーマ:製造業向け中国環境規制の最新動向とその対応
~改正環境保護法と付随措置、大気・CO2・土壌規制など環境法制激変への対応~
□会場:東京品川区(詳細はお申込み後にお知らせします)
□講師:日中環境協力支援センター 取締役 大野木昇司
□主な対象:
 中国内に生産工場を持つ日系企業の環境管理担当
□定員:40名

□主催者ご挨拶(セミナー趣旨):

 中国では2015年1月1日より新環境保護法が施行され、汚職対策が環境行政の現場にも浸透して、環境規制が大幅に強化されています。罰金処罰が大幅に増え、工場の責任者が拘留され、工場閉鎖が命じられ、刑事処罰されるケースが大幅に増えてきました。

 さらには環境情報公開、環境事故緊急対応プラン届出、公益訴訟、VOC規制強化、土壌汚染規制強化、環境保護税、危険廃棄物管理強化など新たな制度が次々に導入されており、今までの環境管理のやり方では法令違反になってしまいます。

 環境保護法には54の付随措置が定められる予定であり、現在半分ほど出来上がっています。このほか、地方政府が中央より厳しい環境規制を導入している例も多く、例えば大連市ならば中央の環境規制、遼寧省政府の環境規制、大連市政府の環境規制、金州新区政府の環境規制を守らなければなりません。

 さらには環境保護法の枠組みのほかにも、省エネ規制、CO2規制、化学物質規制などでも動きがありますので、こちらも留意が必要です。

 これら環境規制は、単なる環境管理組織だけで事足りるわけではなく、サプライチェーン全体に影響が出てくることや、融資や水道・電気・ガス等公定価格にも影響してきますので、まさしく工場全体、グループ全体、サプライチェーン全体での対応に迫られています。

 しかし中国の環境規制の数は多く、地方にも独自の環境規制があり、全体像がわかりにくい上、知らないうちに法令が策定・改定されて違反状態になっている懸念があります。現地の経済開発区(産業団地)の環境保護局が環境規制情報を知らせてくれる場合もありますが、全体像は分かりにくく、担当外だと説明してくれないことも多いのです。また環境法違反の誘致政策を導入しているところもあり、地方の言い分をそのまま受け取ることができないのも実情です。

 このような実情を踏まえ、中国進出企業の環境マネジメントは、全方位型、先手必勝、独自の環境情報収集態勢、専門家を交えた対応法の検討、環境法令順守監査、グローバルな環境対応が必要になってきます。

 本セミナーでは、中国内環境マネジメント全体像のうち、「排出管理」、「GHG管理/低炭素」、「工場管理」、「環境信用」の工場環境マネジメントに密接な部分に重点を絞って、実務面から解説を行います。
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□プログラム

【13:30~15:15】(1時間45分)
第一節 中国の汚染対策をめぐる状況と中国内企業環境マネジメントの全体像
 中国の汚染対策をめぐる状況
 中国企業環境マネジメントに関する情勢が激変
 環境取り締まり強化で日系企業も処罰増える
 中国環境制度体系
  中央規制と地方規制との関係、環境標準、地方基準
 環境法令規制の最新動向
  環境保護法と54の付随措置
  土壌汚染防止法、大気汚染防止法、CO2排出管理
 中国内企業環境マネジメントの全体像

第二節 汚染排出管理
 分野別の汚染排出管理
  水
  大気/悪臭
  VOC規制の全体像
  工業廃棄物/危険廃棄物
  騒音/振動/放射線等
  土壌汚染規制
 制度別の汚染排出管理
  汚染排出許可証
  汚染排出課徴金と環境保護税
  汚染排出規制基準
  汚染排出の監視・取引・記録(ICカード式管理)

第三節 GHG管理/低炭素
 GHG排出規制と対象企業リスト
 GHG排出枠取引

第四節 工場管理
 クリーナープロダクション
 エネルギー管理
  エネルギー監査
  エネルギー管理体系認証制度
 旧式生産設備淘汰

【15:25~16:45】(1時間20分)
第五節 環境信用
 環境情報公開
  企業環境情報公開弁法
  環境/CSR報告書
  中国版PRTR制度
 環境信用評価
  環境信用評価の概況
  他制度との連携(グリーン融資、公共料金、検査回数等)
 環境緊急対応
  突発的環境事件緊急対応プラン
  重度大気汚染時対応
  環境汚染責任保険

第六節 中国内企業環境マネジメントの注意点
 早めの情報収集/対応が必要
 全方位的な環境政策・法令モニタリング
 社内の情報収集態勢
 ローカルスタッフへの環境教育
 「日本のやり方で十分」のような自己満足的やり方は禁物
 環境規制・化学物質規制の策定を事前に知る方法
 環境法令の読み方
 日系企業の対応留意点

第七節 当社の中国内企業環境マネジメントに関する業務紹介
 環境法令情報(週刊レポ、法令速報)
 カスタマイズ型環境法令解説
 環境法令順守監査
 標準(規格基準)の意義と正規販売

質疑応答

□詳細について
料金、申込方法、講師略歴等は、以下URL参照
www.jcesc.com/jcescseminar/seminar12_02oct15k.html

お気軽にお問合せ下さい。

※本セミナーの案内は、以下サイトでも掲載されています。
中小企業ビジネス支援サイト J-Net21
 http://j-net21.smrj.go.jp/headline/event/222714.shtml
EICネット
 www.eic.or.jp/event/?act=view&serial=33775
JICA Parter
 http://partner.jica.go.jp/trainingseminardetail?id=a0f1000000BZTF7AAP&mode=DETAIL&retURL=%2Fapex%2FTrainingSeminarSearchForPrsn
C2J掲示板
 http://bbs.c2j.jp/thread-1682.html
エクスプロア中国ビジネス
 www.explore.ne.jp/business/seminar/seminar.php?id=119
中国標準規格総合サイト GB NAVI
 http://gbnavi.jp/entry-news.html?id=101012

2015年8月13日 (木)

中国内製造業での工場廃棄物管理 ~危険廃棄物では特に厳格管理が必要~

はじめに
 

 ここ1年ほど、江蘇省や遼寧省の日系企業担当者から、「これまで危険廃棄物の処理を委託していた事業者が営業停止処分を受けた。新しい委託先を探さなければならず、困っている」や「危険廃棄物処理料金が値上がりした」という情報が寄せられるようになった。

 製造企業(工場)から出される廃棄物には、一般工業固形廃棄物と危険廃棄物がある。危険廃棄物とは、腐食性、毒性、燃焼性、感染性などを持つ廃棄物のことで、具体的には国家危険廃棄物リストで定められた49カテゴリーの廃棄物(液体も含む)を指すが、これ以外にも危険廃棄物を判定する鑑別基準も定められている。ここで問題になるのは、管理が厳格で処理事業者が限定されている危険廃棄物であるため危険廃棄物処理に重点を置いてまとめる。
 

1.中国の固形廃棄物分類

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工場で行う廃棄物管理

 工場で行う日常的な廃棄物管理については、「①生産計画に基づく工業廃棄物管理計画を策定、当局に提出、②生産活動で発生した工業廃棄物や危険廃棄物を有資格事業者に委託処理(特に危険廃棄物では保有資格を厳しくチェックする必要がある)、③危険廃棄物を市外・省外に移転する場合、マニフェスト管理、④工業廃棄物や危険廃棄物の(委託)処理状況を当局に提出」という一連の流れがある。不法投棄した場合や、危険廃棄物を一般廃棄物に混入して一般廃棄物として処理委託した場合(この場合、判定基準に基づいて危険廃棄物と判定された場合、やはり危険廃棄物として管理する必要がある)はもちろん、有効な許可証のない事業者に処理を委託した場合や移転マニフェスト対応していない場合も、処罰されることになる。
 

 このうち上記の①と④について、過去の一般工業固形廃棄物と危険廃棄物の種類、発生量や処理委託先等、また新たな年度の危険廃棄物管理計画に関する情報を提出するよう義務付けている。この作業プロセスでは一部でIT化が進んでおり、例えば蘇州市では、毎月の一般工業固形廃棄物と危険廃棄物の状況、年間の危険廃棄物管理計画、危険廃棄物移転計画、危険廃棄物移転マニフェスト管理などをオンライン上で提出するよう義務付けており、また遼寧省瀋陽市の例では2014年の一般工業固形廃棄物と危険廃棄物の発生状況と2015年の危険廃棄物管理計画をオンライン上で提出するよう義務付けている。このように最近は紙版の報告書を提出する形式からオンライン上で提出する形式に移り変わっている。ただオンライン提出であろうと、廃棄物管理用の記録簿保管は必須であり、工場管理者としてはその廃棄物管理記録簿を時々チェックする必要がある。

 

処理事業者の選定方法
 

 処理事業者の選定では、インターネット等を活用して自社で探す場合と、現地環境保護局等に相談して探してもらう場合がある。一般工業固形廃棄物では、厳格な資格制度がないため、同じ地域で処理可能な事業者を探すのは比較的容易である。また危険廃棄物では、地方環境保護局が有資格事業者をネット上で公表しており、自社で連絡を取ることもでき、また当局の窓口機関で紹介を受けることもできる。
 

 A市にて工場を経営し、生産活動から一般工業固形廃棄物と危険廃棄物を排出しているとする。一般に、A市の誘致局や所在地開発区管理委員会に処理事業者について照会し、そこで紹介された事業者と処理内容について打ち合わせることになる。また、危険廃棄物処理事業者については、地方当局が名簿を公表しており、ネットからも閲覧できる。その際に、危険廃棄物処理事業者について、危険廃棄物49カテゴリーのうち該当するカテゴリーの許可を持っているか、有効期限は切れていないか、許可証に記載されている備考なども併せて確認する必要がある。
 

 例えば蘇州市(市中市である昆山市、呉江市、太倉市、常熟市、張家港市を含める)の2015420日に公表された最新版危険化学品処理企業リストには、約85社の企業名、許可証番号、住所、対応可能危険化学品カテゴリー、カテゴリー別の認可年間処理量、法定代表者、電話番号、有効期限(一般に3年間)のデータがある。この中には日本資本の蘇州瑞環化工有限公司(日本リファイン株式会社の子会社、対応項目は主に有機溶剤やエーテル系廃棄物)、蘇州同和資源総合利用有限公司(DOWAホールディングス株式会社の子会社、対応項目は主にPCB、貴金属廃液、有機溶剤等)などもある。
 

 ただし実際には、地域ごとに行政当局から処理事業者に関する実質的な指定がある、処理事業者の設立・運営に対する審査・要件が厳しく容易に設立できない、カテゴリーが49もあるため対応できる事業者が市内にあるとは限らない、処理事業者側では年間処理量に関する枠が決まっているなど、選択の幅は狭い。市や省など行政区をまたぐ危険廃棄物の移動は、制度上認められているが、通過する行政区や受け入れ側の環境当局に事前申請して同意を得る必要があるほか、移転マニフェスト手続きが必要であり、特に省級行政区を超える場合、非常に手間と時間がかかるため、実質的に移動が容易ではない。このため、工場内で発生する危険廃棄物の処理委託先がなく、工場敷地内に保管せざるを得ない状況も度々報告されていた。
 

 これに加えて、危険廃棄物処理場に対する監視・取り締まりが厳しくなっており、汚染対策投資の負担に耐え切れずに廃業する処理事業者も出てきている。ここ数年の環境取締りの中で、汚水処理場、ゴミ処理場、危険廃棄物処理場などの環境インフラで汚染対策が徹底されておらず、本来汚染を処理して環境を保全するはずの環境インフラが新たな汚染発生源になっている事実が明るみになっている。危険廃棄物処理事業者についても、許可証にないカテゴリーの危険廃棄物受け入れ、許可証有効期限が切れているのに経営を続けた、移転マニフェストを実行していない、焼却廃ガスが基準値を超過したなどの事例が絶えない。このため、国と地方はこれら環境インフラを重点監視対象に指定しており、汚染対策の不十分な事業者に罰金・閉鎖・操業停止改善などの罰則を科しており、処理事業者にとっては多額の汚染対策投資がのしかかっている。
 

 環境当局は、危険廃棄物処理事業者に対する監視・監督・指導を強化しているが、これは環境リスクを下げる意味で役立つものと思われるが、工場側からするとそれでも不安を払拭しきれない。中国の危険廃棄物処理事業者は、一般に見学受け入れに消極的である。このため、適正処理をしているかどうかの確認は日本より難しい。ただ、顧客になり得る企業に対して見学を受け入れる事業者もわずかに存在する。日系を含む外資系の処理事業者は見学受け入れに比較的寛容であり、また人脈ができていれば、現地の誘致局や環境保護局、開発区管理委員会などの機関の経由で見学を依頼することは可能であろう。

 

処理料金水準

 

 処理料金については、一般工業固形廃棄物の処理料金は一般に規定はなく、市場やコストによって決まるが、およそ1トン当たり1500元~3000元が多いようである。
 

 危険廃棄物の処理料金は一般に市政府物価局が定めるが、工業危険廃棄物(医療廃棄物除く)の固化埋立処分では1トン当たり3000元、焼却処理では同2700元、物理化学的処理では同1500元、特殊危険廃棄物処分では同8000元が目安となる。地方によってはこの料金は運搬費用を含める場合と含めない場合がある。
 

 例えば江蘇省蘇州市では、2013101日より、固化・埋立処分では1kgあたり2.00元(そのうち劇毒類は70.00元)、焼却では同2.8元、物理化学的処理では同1.3元、特殊危険廃棄物処分は同8.00元で10%以内の調整可能となっている(いずれも運搬費用は別途)。江蘇省無錫市では、2013719日の通達で、固化埋立処分では1kgあたり3.00元(調整可能幅を上限2割増、下限なしとする)、焼却では同2.80元(調整可能幅を上限3割増、下限なしとする)、物理化学的処理では同1.50元(調整可能幅を上限3割増、下限なしとする)、劇毒品処分は同90元以内としている。江蘇省徐州市では、20141010日の通達で、固化埋立処分では1kgあたり2.2元(調整可能幅を上限2割増、下限なしとする)、焼却では同2.80元(調整可能幅を上限3割増、下限なしとする)、物理化学的処理では同1.80元(調整可能幅を上限3割増、下限なしとする)、劇毒品処分は同70元以内としている。安徽省合肥市では、20141230日の通達で、1kgあたり1.80元~4.00元(運搬費用を含む)の項目別料金表を公表している。

 

江蘇省危険廃棄物処理業者の状況

江蘇省は日系の製造工場が非常に多いだけでなく、危険廃棄物処理事業者も非常に多い。201412月に環境保護省が公布した『2014年全国大中都市固形廃棄物環境汚染防止年報』によると、江蘇省は危険廃棄物経営許可証の発行数が最も多い。環境規制の厳格化も進めており、同省環境保護庁が20138月に公布した『危険廃棄物経営事業者汚染排出自社モニタリング業務規範化に関する通達』では、20141月より危険廃棄物事業者に対して自社モニタリング方案の策定・実行・情報公開を義務付け、これに違反した場合は許可証の更新申請を受理しないとした。特に、危険廃棄物の焼却・埋立に対する監視を強化しており、2014年上半期で焼却事業者5社に操業停止・改善命令を下した。

2で、同省の危険廃棄物処理事業者数と処理能力の推移を示した。2014年前半まで、事業者数・処理能力ともに安定しておらず、特に5月と7月に大幅に低下したが、年後半以降に安定してきた。ただし、ここでいう処理事業者には、回収・利用、前処理、埋立、焼却等の全てを含む。次に焼却事業者に絞ったものを示す。
 

2 江蘇省危険廃棄物処理業者数および処理能力合計の推移

20150813b_2出典:江蘇省環境保護庁ウェブサイトより筆者作成

  図3で、焼却処理事業者数と焼却処理能力の推移を示した。許可証の有効期限満了後も更新できず失効する事業者、新規参入あるいは処理能力拡張等のため、毎月増減を繰り返している。現在25社前後で推移しており、危険廃棄物処理事業者のうち、焼却能力を持つ事業者は全体の約10%に過ぎない。

3 江蘇省の危険廃棄物焼却処理
業者数および焼却処理能力の推移

20150813c_2出典:江蘇省環境保護庁ウェブサイトより筆者作成
 

まとめ

 

 危険廃棄物管理制度はより厳格に施行されるようになりつつある。行政による政策・制度の枠組みのみならず、情報公開による市民監視を通した、社会からの監視圧力も日増しに強まっており、今後廃棄物市場も一層の規範化が進むとみられる。こうした中、危険廃棄物処理事業者も厳格な対応が求められるようになり、一部に廃業も見られるようになった。在中国製造業にとっては、危険廃棄物処理先を探すのが容易でなくなり、困難に直面している。今後は当局ウェブサイトで正規の処理事業者を探し、処理費用の相場を踏まえつつ交渉する必要がある。また廃棄物管理のIT化も進んでおり、発生量管理・委託処理・将来計画等の情報もオンラインで提出し、また発生地点の監視カメラ導入・当局へのネットワーク化を求める地方も出てきており、これらへの対応も求められる。一方で、技術改善要求もおのずと高まっており、海外の先進的取組や技術の導入が加速している。日中関係の改善が進む中、危険廃棄物処理技術を有する日系企業にとっては好機ともいえる。

 

関連情報

 

 中国廃棄物管理対応のより詳細な情報は以下のセミナーを参考にして下さい。 

「中国の廃棄物リスク事例と実務のポイントを知るセミナー」
日時:2015929日(火) 14:0016:00
場所:東京都千代田区九段北
http://www.amita-oshiete.jp/seminar/entry/002256.php

http://www.amita-net.co.jp/news/2015/08/post-146.html
 

参考文献・URL

江蘇省蘇州市危険廃棄物処理企業(20154月発表)

http://www.szhbj.gov.cn/hbj/gf.htm

江蘇省蘇州市危険廃棄物処理料金基準(20139月)

http://www.szhshb.com/Shownews.asp?id=50

江蘇省無錫市危険廃棄物処理料金基準(20137月)

http://wjj.chinawuxi.gov.cn/web101/zt/sqsf/7037033.shtml

江蘇省徐州市危険廃棄物処理料金基準(201410月)

http://xxgk.xz.gov.cn/xxgkdesc/xxgk_desc.jsp?manuscriptid=f97b852120d84c518cefd40d7f713cb7&zt=

安徽省合肥市危険廃棄物処理料金基準(201412月)

http://www.hfpi.gov.cn/n7216006/n9984511/n9984639/n9985122/37248568.html

環境保護省2014年全国大中都市固形廃棄物環境汚染防止年報』20151月)

http://www.zhb.gov.cn/zhxx/hjyw/201501/t20150105_293794.htm

大野木昇司、中根哲也2015)「中国における工場側から見た廃棄物処理対応」,『季刊環境技術会誌』(一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会)20157月号(通算160号)

2015年6月 3日 (水)

『水汚染防止行動計画』解説 ~水環境規制強化や新制度導入で2兆元の需要を喚起~

『水汚染防止行動計画』解説

水環境規制強化や新制度導入で2兆元の需要を喚起

 

はじめに

 

 国務院は416日、『水汚染防止行動計画』(「水十条」)を公布した。これは、今後当面の全国水汚染防止業務の行動ガイドラインとなる。「水十条」と称されるのは、10の分野ごとに一条を割いて方針を規定しており、合計10条あるためである。また20139月に『大気汚染防止行動計画』(「大気十条」)に次いでできた第二の汚染防止行動計画であり、今後年末から来年初め頃にかけて第三の汚染防止行動計画『土壌汚染防止行動計画』(「土十条」)が策定される予定である。なお、通常の五ヵ年計画と異なる中央省庁『行動計画』には、このほか『エネルギー発展戦略行動計画』、『循環経済発展戦略及び当面の行動計画』、『石炭火力省エネ高度化・改造行動計画』、『中国生物多様性保護戦略・行動計画』などがある。

 「水十条」で定めた具体的対策措置238件のうち、改善強化措置136件と研究模索措置12件のほか、改革・革新措置90件を重点的に打ち出している。

 

主な事業目標

 

 「水十条」が定めた事業目標は次の通り。①2020年までに、全国水環境質を段階的に改善し、汚染の深刻な水系を大幅に減らし、飲料水安全保障水準を継続的に高め、地下水の過剰汲み上げを厳格に抑制し、地下水汚染の悪化傾向をひとまず抑制し、近海域環境質を安定的に改善させ、京津冀(北京市-天津市-河北省)、長江デルタ、珠江デルタ等地域の水生態環境状況を好転させる、②2030年までに、全国水環境質の全体的改善を目指し、水生態系機能をひとまず回復する、③21世紀中頃までに、生態環境質を全面的に改善し、生態系の良性循環を達成する。主な指標は次の通り。2020年までに、長江・黄河・珠江・松花江・淮河・海河・遼河の7大重点流域水質「優良(Ⅲ類以上)」割合を全体の70%以上にし、地級以上の都市市街地の汚染・悪臭水系を10%以下に抑制し、地級以上の都市集中飲料水水源水質のⅢ類以上の割合を93%以上にし、全国地下水質の「非常に悪い」割合を約15%に抑え、近海域水質「優良(12)」割合を約70%にする。京津冀地域の使用機能喪失水系(超Ⅴ類)観測地点割合を約15ポイント減らし、長江デルタ・珠江デルタ地域では使用機能を喪失した水系の一掃を目指す。2030年までに、全国7大重点流域水質の「優良」割合を全体の75%以上にし、都市市街地汚染悪臭水系を一掃し、都市集中型飲料水水源水質のⅢ類以上の割合を全体の約95%以上にする。

 

10分野の対策措置

 

 以上の目標を達成するため、「水十条」は10分野の措置を定めた。

 第1条、汚染排出を全面抑制する。工業・都市生活・農業農村・船舶港湾等の汚染発生源について、相応の排出削減措置を打ち出した。①法に基づき「10小」企業(小型製紙・製革・染色・染料・コークス・硫黄製造・ヒ素製造・製油・メッキ・農薬産業の企業)を取締り、「10大」重点産業(製紙・コークス・アンモニア肥料・非鉄金属・染色・農産物副食品加工・原料薬製造・製革・農薬・メッキ産業)の対策を行い、工業クラスタ区汚染を集中的に処理し、②都市汚水処理施設の建設改造を進め、付随管網敷設・汚泥無害化処理処分を推進し、③畜産養殖汚染を防止し、農業面源汚染を抑制し、農村環境総合対策を実施し、④船舶汚染防止水準を高める。

 第2条、経済構造転換グレードアップを推進する。産業構造の調整、空間分布の最適化、循環型発展の推進は、経済構造転換グレードアップを推進するだけでなく、水汚染処理の重要な手段ともなる。①旧式生産能力の廃棄を加速し、②水質目標を踏まえ、環境面の市場参入規制を厳格化し、③産業発展分布・構造・規模を適正に定め、④工業水循環利用・再生水・海水利用等により、循環発展を推進する。

 第3条、水資源の節約・保護に着手する。①最も厳格な水資源管理制度を施行し、地下水の過剰採取を厳格に規制し、水利用総量を抑制する、②水利用効率を高め、工業・都市・農業節水を徹底する、③水資源を適正に保護し、水量調整を強化し、重要河川の生態水流量を保障する。

 第4条、科学技術による支援を強化する。①環境技術評価体系を整備し、共有プラットフォーム構築を強化して、先進実用技術を実証・普及する、②既存技術リソースを整理統合し、基礎研究・先駆技術研究開発を強化する、③環境産業市場を規範化し、環境サービス業の育成を加速し、先進実用技術・設備の産業化を推進する。

 第5条、市場メカニズム機能を発揮させる。水価格改革を加速し、汚水処理費・汚染排出費・水資源費等の費用徴収政策を整備し、税制を整備し、価格・税制・費用のレバレッジ効果を発揮させる。政府・民間投入を拡大し、多元的投資を促す。「トップランナー」制度の整備、グリーン融資の普及、地域間補償等の措置により、水環境対策に有利な奨励メカニズムを構築する。

 第6条、環境法取締り監督管理を厳格にする。①法令・基準の整備を加速し、法執行監督管理を強化し、各種環境違法行為を厳格に処罰し、違法建設事業を厳格に取り締まる、②行政法執行と刑事司法との連携を強化し、監督法執行メカニズムを整備する、③水環境モニタリングネットワークを整備し、省庁・地域・流域・海域を越えた汚染対策調整メカニズムを形成する。

 第7条、水環境管理を適切に強化する。①水質目標要求を達成していない地域では、期限内達成の業務方案を策定・実行し、汚染総量規制制度を進め、各種環境リスクを厳格に抑制し、突発的水環境汚染事件を適切に処理する、②汚染排出許可証管理を全面的に実行する。

 第8条、水生態環境安全を全力で保護する。①水源から蛇口までの全過程監督管理メカニズムを構築し、飲料水安全状況を定期的に公布し、地下水汚染を適正に防止し、飲料水の安全を確保する、②重点流域水汚染防止を推進し、河川水源等の水質の良い水系を保護する、③長江河口、珠江河口、渤海湾、杭州湾等の河口・湾内汚染を重点的に整備し、海岸埋め立て管理を厳格に行い、近海域環境保護を推進する、④大都市内の汚染・悪臭水系対策を強化し、直轄市・省都・計画単列市市街地で2017年末までに汚染・悪臭水系を一掃する。

 第9条、各主体の責任を明確化し、実行させる。全国水汚染防止業務協働メカニズムを構築する。地方政府は、現地水環境質に全責任を負い、水汚染防止特定業務方案を策定する。汚染排出事業者は、自社で汚染対策し、法令を厳格に順守する。流域別・地域別・海域別に、年次計画実施状況を審査し、各主体が責任を十分に果たすよう促す。

 第10条、住民参加・社会監督を強化する。国は、水質のベスト10都市・ワースト10都市リストと各省(区・市)水環境状況を定期的に公布する。法に基づき、水汚染防止関連情報を公開し、自主的に社会監督を受ける。住民・民間組織を重要環境取締り行動や重大水汚染事件の調査の全過程に参画させ、全住民行動枠組みを構築する。

 

重要な改革措置

 

 「水十条」では、以下のような多くの重要な改革措置が盛り込まれた。

 (一)自然資源用途規制制度の整備である。

 (二)水節約・集約利用制度の整備である。

 (三)生態保護レッドラインの策定、資源環境受容能力モニタリング予防警戒メカニズム構築である。

 (四)資源有償利用制度の実行である。水価格改革を加速する。県級以上の都市は2015年末までに、住民用段階的水価格制度を全面施行し、条件の整った行政鎮でも積極的に推進する。2020年末までに、非住民用水定額・計画超過累進加算制度を施行する。

 (五)生態補償制度の施行である。汚染排出権有償使用・取引実証事業を更に推進する。

 (六)環境市場の育成である。全国統一的な環境市場の育成と公平競争を阻害する規定・方法を廃止する。環境施設設計・建設・運営等分野の入札管理弁法・技術基準を整備する。監督管理行政部門・汚染排出事業者・環境サービス会社の責任・義務を明確にし、リスク分担・契約履行保障等のメカニズムを整備する。汚水・ゴミ処理・工業団地を重点として、環境汚染第三者処理を推進する。

 (七)民間資金を生態環境保護に誘導する市場化メカニズムの構築である。融資担保基金の設立を積極的に進め、環境設備融資リース業務の発展を推進する。株式、事業収益権、民活経営権、汚染排出権等の抵当融資担保を普及させる。環境パフォーマンス契約サービス、開発経営権益供与等により、民間資本の水環境保護への投資拡大を奨励する。

 (八)全ての汚染排出を厳格に監督管理する環境管理制度を構築・整備し、環境監督管理・行政取締りの独立性確保である。都市汚水処理施設の脱窒除リングレードアップ改造や、重点産業の特徴的汚染対策、港湾・埠頭・積卸場・船舶汚染防止等を強化する。国家環境監察員制度を検討構築し、環境監督管理ネットワーク化管理を実施する。

 (九)陸海を統合した生態系保護修復・汚染防止地域の連携メカニズムの構築である。

 (十)環境情報の適時公布、通報制度の整備、社会監督の強化である。地級以上の都市は2016年より四半期ごとに飲料水安全状況を公開する。2018年より、全ての県級市以上の都市は、飲料水安全状況情報を公開する。

 (十一)汚染排出許可制度の整備、企業・公共機関汚染排出総量規制制度の施行である。2015年末までに、国家監視重点汚染源、汚染排出権有償利用・取引実証地域の汚染源で汚染排出許可証発行を終え、その他汚染源は2017年末までに終える。水質改善・環境リスク防止を目標に、排出汚染物の種類・濃度・総量・排出先等を許可証管理対象にする。

 (十二)賠償制度の厳格実施と法に基づく刑事責任追及である。隠蔽配管設置または浸透井・浸透坑・鍾乳洞で有害有毒汚染物や病原体を含む汚水の排出・投棄、モニタリングデータの改ざん、水汚染処理施設を正常使用しない、または水汚染処理施設の未認可解体・放置等の環境違法行為を重点的に取り締る。生態環境に損害をもたらした責任者に対し、賠償制度を厳格に実行する。建設事業環境アセス分野の越権認可・未認可建設・手続き中の建設着工・試運転延長で検収を受けない等の違法建設事業を厳格に取り締まる。犯罪の疑いのある場合、法に基づき刑事責任を追及する。

 

期待される成果

 

 「水十条」の実行により期待される成果は以下の通り。

 (一)経済発展を最適化する。「水十条」は、旧式生産能力廃棄、空間分布最適化、循環発展推進、水利用効率向上、経済政策整備、市場メカニズム発揮等の措置により、経済構造転換グレードアップ、生産力構造最適化を促し、「安定成長」、「構造調整」、経済社会の持続的発展に貢献する。「水十条」実行により、GDPを約5.7兆元増やし、非農業雇用を計約390万人増やし、サービス業のGDPに占める割合を2.3%増やす。

 (二)環境産業を成長させる。「水十条」は汚染対策投資の拡大、汚染処理技術、環境設備の開発・産業化水準の大幅な向上等により、環境産業生産額を約1.9兆元増やし、このうち環境産業製品・サービスを約1.4兆元直接購入する。

 (三)体制メカニズムを整理する。「水十条」の施行により、水汚染防止税制・価格等の経済政策を整備し、水汚染防止分野で第三者処理・生態補償等の市場メカニズムの機能を大きく発揮させる。情報公開メカニズムを整備し、地方政府・企業・公共事業者の汚染対策責任を効果的に果たさせ、水汚染防止の恒久的メカニズムを構築・整備する。

 (四)民生を適切に改善する。2020年までに、住民の環境情報取得・環境対策参加のチャンネルを更に広げ、一般人が水汚染防止行動に積極的に参画できるようにする。

 

法令・制度整備や取締り強化

 

 「水十条」では法令・基準の整備を強調している。広域地方版や地方版の「水十条」が各地で策定される見込みであるほか、水汚染防止、海洋環境保護、汚染排出許可、化学品環境管理等法令の制改定ペースを加速し、環境質目標管理、環境機能区分、節水・循環利用、飲料水水源保護、汚染責任保険、水機能区監督管理、地下水管理、環境モニタリング、生態水流量保障、船舶・陸上汚染源対策等の法令を検討・制定する。各地は実状を踏まえ、地方水汚染防止法規を検討・起草する。また、地下水・地表水・海洋等の環境質基準、都市汚水処理・汚泥処理処分・農地排水等の汚染排出基準を制改定する。重点産業の水汚染物特別排出規制値、汚染防止技術政策、クリーナープロダクション評価指標体系を整備する。各地では、国家基準より厳格な地方水汚染排出基準を策定できる。

 また取締りの強化を強調している。全ての汚染排出事業者は、法に基づき排出基準を全面的に順守しなければならない。工業企業の汚染排出状況を逐一検査し、①基準順守企業は安定的に基準順守するよう措置を採り、②基準超過・総量超過企業は「イエローカード」警告を与え、一律に生産制限または生産停止改善措置を採り、③取締り後も基準未達成かつ状況が深刻な企業には「レッドカード」を与え、一律に操業停止・閉鎖処分にする。2016年より、環境「イエローカード」「レッドカード」企業リストを定期的に公開する。汚染排出事業者の排出基準順守状況を定期的に抽出検査し、その結果を一般公表する。

 「水十条」により、最も厳格な水資源管理制度を施行する。環境保護省によれば、国家産業政策に合致しない製紙・製革・染色・染料・コークス・硫黄製錬・ヒ素製錬・製油・メッキ・農薬分野の零細企業(通称「10小」企業)を厳格に取り締まるほか、排出原単位の高い製紙・コークス・窒素肥料・非鉄金属・染色・農業副食品加工・原料薬製造・製革・農薬・メッキの10産業について、クリーン改造を求めており、企業は全面的な排出基準順守が義務付けられる。環境保護省汚染防止司の陳永清副巡視員は、2016年よりイエローカード・レッドカード企業リストを定期的に公開し、基準超過・総量超過企業にイエローカード警告を、取締り後も基準未達成で状況が深刻な企業にはレッドカード処分を行い一律に操業停止・閉鎖する、と述べた。

 

「水十条」で生まれる約2兆元の環境市場

 

 「水十条」の水環境質量改善目標は、地域・流域水環境修復等総合型環境企業に対し、より多くの処理・運営・保守管理サービスの機会をもたらす。

 例えば、「十大」重点産業(製紙・コークス・アンモニア肥料・非鉄金属・染色・農産物副食品加工・原料薬製造・製革・農薬・メッキ産業)の特定整備や、大規模畜産養殖場(コミュニティ)の汚染防止では、環境産業のエンドオブパイプ処理から生産工程全体のクリーン改造総合サービスへの転換を推進しうる。工業団地の汚水集中処理やオンライン監視等に対する要求では、工業団地の水環境モニタリング・汚染防止・環境施設運営等第三者処理サービスの振興をもたらし得る。都市生活汚染処理・汚水処理施設グレードアップ改造・汚泥処理処分では、施設設計・設備製造・施設建設・運営保守等の産業に追い風となる。農村汚水処理の統一的計画・建設・管理では、都市汚水処理施設・サービスの農村への拡張を推進しうる。新規取水許可の厳格規制、再生水施設建設の整備要求により、再生水・海水利用産業の振興をもたらしうる。節水目標任務の審査、管網漏水率の抑制では、雨水利用・節水施設建設・製品生産・関連技術の発展を促進する。

 環境産業発展方式も徐々に転換することになる。「水十条」では、官民資本提携(PPP)、政府による環境サービス調達等の新方式を推進し、政府の環境固定資産投資を主とする従来型投資方法から、総合環境サービス提供方式に転換することになる。投資回収メカニズムの改善、民間融資手段の多元化、環境パフォーマンス型契約サービス推進等の措置により、投資者・建設運営者の協力を強化し、「投融資-建設-運行」を企業が一手に担う水環境整備総合サービス方式を整備していくことになる。また工業団地・畜産・重点産業企業の汚染対策のニーズ拡大により、専門的第三者処理サービスを推進する。

 専門家の試算では、「水十条」により生まれる直接的な環境産業製品・サービスの需要は14000億元を超え、間接的にはさらに5000億元もの需要を生み出すとされる。その一部として、第13次五ヵ年計画期間(2016年~2020年)、既存汚水処理場・新規汚水処理場の排水基準を国家1A基準に対応させるようにした場合、改造市場規模は1500億元超となり、年間平均成長率は30%超となる。一方、「水十条」は2017年までに超Ⅴ類水質の汚染水系を一掃するよう要求しており、同計画の投資額で計算すると、流域対策の市場規模は4000億元超となる。

 

まとめ

 

 「大気十条」がもたらした中国大気環境規制の強化や大気環境ビジネスの拡大などに与えたインパクトの大きさを見ると、「水十条」の策定は中国の水環境規制の強化や水環境ビジネスの拡大に大きな影響を与えるものと推測される。これを機に、工場等の製造事業者は排出規制基準の厳格化への対応や情報公開制度など新制度への対応を進めていく必要があり、また水環境ビジネス事業者にとっては大きな商機であると言えるが、第三者処理・PPPなどの新たな制度も踏まえながらビジネスモデルを構築していく必要がある。いずれにせよ、今後策定・改定される法律や下位法令、地方法令、排出基準等標準、政策制度の情報について引き続きフォローしてしっかり対応する必要がある。

 

参考

国務院『水汚染防止行動計画』配付に関する通達

http://www.gov.cn/zhengce/content/2015-04/16/content_9613.htm

人民日報記事:水十条詳説 2020年に7大重点流域の水質を改善

http://env.people.com.cn/n/2015/0416/c1010-26855242.html

中国環境報記事:水十条 2兆元産業の好機 環境企業は準備必要

http://www.cenews.com.cn/sylm/hjyw/201504/t20150416_791042.htm

2015年5月13日 (水)

今年から始まった企業環境情報公開制度 多くの日系企業も対象に

 

最新の注目すべき中国環境規制の動き

~今年から始まった企業環境情報公開制度 多くの日系企業も対象に~ 


1
.『企業・事業者環境情報公開弁法』の概要

 中国ではここ数年も新たな環境規制ができている。今回取り上げるのは「企業環境情報公開制度」である。対象企業リストには日系企業も多い。201511日施行の新『環境保護法』第12条でこの制度を規定しており、具体的には『企業・事業者環境情報公開弁法』で運用する。本弁法は、環境保護省が20141219日に公布し、201511日施行している。

 本弁法の適用対象は、重点汚染排出事業者及び非重点汚染排出事業者である。このうち重点汚染排出事業者とは、区設置市級政府の環境行政部門が毎年3月末までに定めた本行政区域内の重点汚染排出事業者リスト(以下、対象企業リストと称す)に入った企業のことである。2015年では3月末に企業リスト公開が間に合わなかったところが多く、4月頃に各市の環境保護局が一斉に公開された。

 重点汚染排出事業者の義務としては、対象企業リストを公布後90日以内に環境情報を公開し、環境情報は新たに発生または変更があった場合、30日以内にその情報を公開しなければならないとした。弁法規定では「3月末に対象企業リスト公開」となっているため、対象企業は6月末までに情報公開しなければならないことになる。

 重点汚染排出事業者が公開しなければならない環境情報は次の通り。  

 

①企業基本情報(事業者名称、組織機構コード、法定代表者、生産住所、電話、生産経営の主要内容、製品及び規模)

 

②汚染排出情報(主要汚染物及び特徴的汚染物の名称、排出方法、排出口数と分布状況、排出濃度と総量、基準超過状況、適用する汚染排出基準、査定された排出総量)

 

③汚染処理施設の建設・運行状況

 

④建設事業環境影響評価及びその他環境行政許可状況

 

⑤突発的環境事故緊急対応プラン

 

⑥その他公開しなければならない環境情報(別途規定する見込み)

 

⑦環境自社モニタリング方案

 

 環境情報公開の方法としては、自社ウェブサイト、地方環境当局が開設する環境情報公開プラットフォーム(ウェブページ)、現地報道メディアから一つ以上選ばなければならない。自社ウェブサイトで公開すれば問題ないが、地方環境当局ではプラットフォーム利用を推奨しているところが多い。そのほか、掲示板、テレビ・ラジオ、資料配布スタンド設置なども推奨している。

 非重点汚染排出事業者に対する規定としては、義務化してはいないが、国は非重点事業者が自主的に生態保護、汚染防止、社会環境的責任の履行に役立つ情報を公開するよう奨励している。

 懲罰規定としては、重点汚染排出事業者が下記の行為のうち1つに該当した場合、県級以上の環境行政部門により『環境保護法』の規定で公開を命じ、3万元以下の罰金を科し、企業名を公表するとした。地方環境当局は不定期で対象企業の環境情報公開状況を検査する。

 
 

①本弁法の内容規定の通りに環境情報を公開しない場合。

 

②本弁法で規定する方法で環境情報を公開しない場合。

 

③本弁法で規定する期限内に環境情報を公開しない場合。

 

④公開内容が真実でない、または虚偽である場合。

 


2.対象企業リストに日系企業が多数あり

 この対象企業リストは各市の環境保護局が、企業から出された環境アセス書類や届出書類などから把握している汚染負荷の大きい工場・汚染処理施設・病院等をリストアップしたものである。小規模の工場や、汚染負荷の大きい工程のない工場などは含まれていない。全ての市の環境保護局で対象企業リストがネット公表されているわけではない。これにはリスト策定が遅れている場合、リスト公表が遅れている場合が考えられる。公表された一部地方のリストを見ると、日系企業も含まれている。その一例として、下表に上海市、遼寧省大連市、広東省深圳市、広東省東莞市のリストのうち主な日系企業を挙げた(下表で全ての日系企業を網羅しているわけではない)。

表.上海市、遼寧省大連市、広東省深圳市、広東省東莞市の対象企業リストのうち主な日系企業

                                                                   
 

地域名

 
 

日系企業名

 
 

上海市

 
 

三井高科技(上海)有限公司

 
 

上海山崎路板有限公

 
 

日乃本五金塑料製品(上海)有限公司

 
 

上海NTN精密機電有限公司

 
 

金井特線工業(上海)有限公

 
 

 

 
 

遼寧省大連市

 
 

旭硝子特殊玻璃(大連)有限公司

 
 

 

 
 

広東省深圳市

 
 

オリンパス(深圳)有限公司

 
 

オムロン電子部件(深圳)有限公司

 
 

旭硝子精細玻璃(深圳)有限公司

 
 

深圳東洋旺和実業有限公司

 
 

エプソン精工(深圳)有限公司

 
 

住友電工電子製品(深圳)有限公司

 
 

深圳市日東設備工程有限公司

 
 

東レ塑料(深圳)有限公司

 
 

上村旭光化工機械(深圳)有限公司

 
 

富士電機(深圳)有限公司

 
 

精密回路技術(深圳)有限公司

 
 

山田精密技術(深圳)有限公司

 
 

昭工表面製品(深圳)有限公司

 
 

 

 
 

広東省東莞市

 
 

日立蓄電池(東莞)有限公司

 
 

日立化成工業(東莞)有限公司

 
 

田村化研(東莞)有限公司

 
 

京セラ愛克(東莞)有限公司

 
 

東京光学(東莞)科技有限公司

 
 

 

 

 

出典:

上海市リスト http://www.sepb.gov.cn/fa/cms/upload/uploadFiles/2015-04-22/file1973.pdf

大連市リスト http://www.epb.dl.gov.cn/Common/View.aspx?mid=480&id=20830&back=1

深圳市リスト http://www.sz.gov.cn/cn/xxgk/szgg/tzgg/201504/t20150421_2860674.htm

東莞市リスト http://www.dg.gov.cn/0216/6.1/201504/870048.htm


3
.対象企業の対応すべき内容


 中国に工場を持つ企業の対応としては、
①工場所在各市の環境保護局が4月前後に公表した対象企業リストに入っているかどうかを早急に確認する必要がある。対象企業リストに入る条件としては、規模の大きな工場、重点環境監視企業、省級実験室を備える企業、3年以内に大規模環境汚染事件を起こした企業などである。もし対象企業リストに入っていれば、本弁法で規定された情報公開内容に基づいて、6月末までに早急に社内の環境情報を整理し、自社ウェブページなどで公開する必要がある。

 この対象企業リストは毎年更新されるため、毎年確認する必要がある。
2015年版に入っていなかったからといって、2016年版も入らないとは限らない。

 地方によっては環境情報公開のフォームなどを用意しており、地方独自の通達内容がないかどうか併せて確認する必要がある。

※当社では『企業・事業者環境情報公開弁法』仮訳を販売している。詳細は以下
URL参照
http://www.jcesc.com/env_law_reg.html#LR0056

 

«アジア最大規模の環境展――中国国際環境博覧会(IEexpo2015)が開催、併設フォーラムも

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